リエージュ=ギユマン駅の進化 Gare de Liège-Guillemins

ベルギー南部ワロン地方の最重要都市ともいえるリエージュ Liège の駅舎は現代的なデザインで知られます。

リエージュに鉄道が敷設されたのは1838年4月2日。ブリュッセルからリエージュ北西郊外にあるアン Ans という町までが結ばれました。

その後、リエージュの中心部まで鉄道は伸び、ギユマン修道院の跡地に駅が建設されました。1842年に木製で作られた駅舎は、その後1882年、1905年に近代化が図られ、その後1958年にまったく無個性のインターナショナル・スタイルのビルになっていました。それが最終的に2009年9月18日のカラトラヴァ作品へと生まれ変わるのです。

スペイン・ヴァレンシア出身の建築家、サンティアゴ・カラトラヴァが設計した超現代的な駅舎は、それまでリエージュ駅が抱えていた問題(TGVやThalys、国内電車、増大する乗客をさばききれない)を一掃する形で、完全に新しく生まれ変わりました。アントワープ中央駅とリエージュ=ギユマン駅は、「世界の美しい駅舎」ランキングの上位常連となります。

曲線のドーム、白いコンクリート、広くて明るい空間、極限まで装飾性を排除したシンプルな概観。全体のフォルムは大胆ですが、単純すぎて個性がないとも言えます。

建設費用は3億1200万ユーロ。お金がかかりすぎという批判、細かいところで不具合が直っていない、昔の伝統ある駅舎を破壊して嘆かわしい、などの批判もあるものの、リエージュが国際経済の中にとどまり続けるためには必要な一歩でもありました。しかも、1905年のベル=エポック時代の駅舎はすでになくなっており、1958年の没個性の建物はいかにも時代遅れの感がありました。

日本では原広司氏が設計した現代的な京都駅のビルについて毀誉褒貶が相半ばしますが、それに似た現象ですね。あなたはどう思いますか?

 写真上:ベル=エポック時代(1905年)

写真上:ベル=エポック時代(1905年)

写真上:インターナショナル・スタイル(1958年)

 

カラトラヴァのデザインを堪能できるサイトはこちら。

https://www.greisch.com/projet/gare_ferroviaire_liege_guillemins_toiture/

駅周辺の歴史についてはこちら。

http://users.belgacom.net/cwarzee/guillemins/index.htm

ロンドンとリエージュをつなごうという情報サイトはこちら。

http://guillemins.be/

ベルギー鉄道SNCB

http://www.belgianrail.be/fr/gares/recherche-gares/15/liege-guillemins.aspx

 

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