復興コンサート・レビュー2018

2018年版コンサートが大成功に終わり、ほっと一段落の週末。そして新しい週のはじまり。皆さん、フレッシュな気分でいらっしゃることと存じます。

写真(LINK)はTe-Pei Lin君によるスナップショット。舞台脇の登場口で、若いミュージシャンの演奏を真剣に、ときに心配そうに見つめる二人。その視線は演奏者、観客、音の響きわたる美しい会場ホールの宙空に向けられます。

バイオリニストの堀米ゆず子とチェリストのアントニオ・メネセスは同い年で長年共演を重ねて来た「戦友たち」。そして彼らは若い世代を育てる「教育者」でもあります。

今回は堀米教室の卒業生たちが、美しい音、斬新な感覚を4本のバイオリン、そしてバイオリン&アコーディオンで表現してくれました。まさに、堀米さんが手取り足取り指導した弟子たちの晴れの舞台。師弟であり同じ音楽という畑で働く同志たち。彼らの間で交わされるちょっとした目配せにも、とても深くて強い絆が感じられます。

クラシック音楽離れが叫ばれるなか、そして2011年の東北大震災の記憶が薄れゆくなか、、、それでも人間の創り出した美しい芸術作品をひととき鑑賞しよう、人間としての祈りを捧げようと集まって来た人々の善意に救われる思いがしました。

堀米&メネセス&ドゥヴォスの3人による、チャイコフスキー作曲「ピアノ三重奏曲イ短調作品50 偉大な芸術家の思い出に」は、日本での演奏も多いメネセス氏の選択だと聞きました。故人を偲んで作曲されたこの作品は、全体に重々しい哀悼の感情が感じされるものでした。ときにチャイコフスキーらしい遊び心が顔を出し、美しい風景が眼前に広がり、たくさんの色や香りの詰まった素晴らしい演奏でした。心ならずも命を失った人々、残された家族の皆さんへのメッセージを伝えるための音楽です。

ちなみに、写真を撮ってくれたTe-Pei Lin君も堀米門下のバイオリニスト。音楽家の呼吸を理解して撮影する彼の写真には独特の詩情があります。彼には感謝の念を込めて、ANAのチケットが当たる(かもしれない)トンボラ・クジを進呈しました。今回は台湾出身の彼のために88番を用意したのですが、残念ながら当たらず。見事当選の114番を選んだ女性は、それが「お父さんの誕生日1月14日だから」という理由だったらしいです。人生、そんな奇遇な出来事に満ちていますね。 

写真へのリンク

5.mar.2018

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