- 1. ミチルのひとりごと 仕事と子育てを両立させるお父さん
- (コラム)
- ウクライナの大統領ゼレンスキー氏が、さらなる支援を要請するため、英国、フランスに続き、EU本部のあるベルギーを訪問した日の朝、ブリュッセルの気温は、氷点下一度の寒さだった。 午前7時半頃、アパートの自宅を出ようと私がドアを開けると、玄関ホールから大きな子供の叫び声が聞こえてきた。 なんだろうと思いながら、階段を降りて行くと、自転車を押した40代くらいの男性と7歳くらいの男の子が建物入口のロビーにいる。彼らは同じアパートの住人で、時々顔を合わせる親子だ。 ...
- 作成日 2023年03月02日
- 2. ミチルのひとりごと キュウリを切れない日本人と、ヒジャブを被らないクルド人
- (コラム)
- 家庭科の時間が、昔から大の苦手だった。 私の子供の頃は、女の子は家庭科で、男の子は図画工作と決まっており、男女で学校で習う内容に違いがある時代だった。 不器用だった私は、家庭科の時間が苦痛で仕方がなかった。男子が楽しそうにノコギリを使って椅子とか作っているときに、どうして女子は料理や裁縫を習わなければいけないのか。なぜ自分の興味のある科目を選択できないのだろう。 家庭科では、1分以内にキュウリを30枚以上切るという試験があった。しかも、1枚を2ミリ以下にしなければならない。今考えると、そんなことをして一体何になるのだと言いたくなる。 ...
- 作成日 2022年10月22日
- 3. ミチルのひとりごと プーチンのお買い物
- (コラム)
- ロシアがウクライナへの攻撃を開始して16日目。連日痛ましいニュースが報道されている。2年かけてコロナがようやく収まりつつあると思ったら、次は戦争である。それもかなり危ない。どこか遠いアフリカや、中近東の紛争ではない。ヨーロッパ大陸での戦争である。 昨日は、あろうことか市民のいる病院や民家に攻撃があったとの報道があった。お腹の大きな妊婦さんが、血まみれになって病院の階段を逃げ降りている写真が掲載されていて、なんとも痛ましい気持ちになる。こんな状況下で、彼女は安全に赤ちゃんを産むことができるのだろうか。 ...
- 作成日 2022年03月28日
- 4. ミチルのひとりごと ダイバーシティー溢れるベルギーの語学学校
- (コラム)
- ベルギーの新学期は9月に始まる。今回は、ミチルが語学学校で出会った個性的な人々をご紹介したい。 でっぷりとお腹の出たアラブ系のおじさんは、シリアからの難民だった。祖国では成功した開業医だった彼は態度が尊大。 彼のフランス語が特に皆より上手なわけでもないのに、いつもふんぞり返って、他の生徒たちを下に見ているところがあった。 しかしある日、薄くなったグレーの髪をなでつけながら、小柄な彼が「この歳になって、まさか言葉もろくに通じないような国で、人生すべて一からやり直すことになるなんて思いもよらなかった。戦争で突然すべてを奪われ、国を追われ、親戚を頼ってベルギーに来ざるを得なかった。シリアは賢い人々の集まる立派な国だったのに、あっという間に変わってしまった。私の年齢で若い人々に混じって勉強しなくてはならない屈辱を、君なんぞには理解できんだろうな」とため息をついた。 ...
- 作成日 2021年09月01日
- 5. ミチルのひとりごと 勤務中にバナナなんて、けしからん・・・こともないよね。
- (コラム)
- コロナになってから、スーパーマーケットには一人でしか行けなくなってしまった。 先週の土曜日。その日は、いかつい顔で60歳くらいの、ごま塩頭で中肉中背の白人男性が、入り口に警備員として仁王立ちで立っていた。スーパーに入って行く人、出てくる人を鋭い目つきで見ている。 いつもいる若くてひょろっとしたお兄さんには、ボンジュールと声をかけるミチルも、このおじさんは、オーラが怖すぎて、思わず目を逸らして黙って通り過ぎて入店してしまった。 ...
- 作成日 2021年04月24日
- 6. ミチルのひとりごと 2020-21の年末年始
- (コラム)
- 2021年。皆様、新年明けましておめでとうございます。 ベルギーに住んで10年以上になるが、新年をここブリュッセルの自宅で迎えたのは、何年ぶりだろう。 冬休みのこの時期は、日本に一時帰国するか、旅行をしていて、ブリュッセルで過ごすというのは、もしかするとベルギーに初めて来た冬以来かもしれない。 自分としては、これまで通り日本に一時帰国したいと考えていた。ところが、「いつでも帰っておいで」と常に私の帰国を心待ちにしていたはずの母が衝撃の一言を口にした。 ...
- 作成日 2021年01月01日
- 7. ミチルのひとりごと ブリュッセルから香港を憂う
- (コラム)
- コロナ明けから3回目の外食。サン=ジェリ地区にあるアジア系レストラン。 ここに初めて入ったときは、偶然見つけたのだが、料理がとても美味しくて、ミチルの舌にあってお気に入りのレストランの一つ。このお店には、ご縁があるウエイトレスさんもいる。 メイ(仮名)は、以前私が住んでいたアパルトマンの近くにあった中華レストランのオーナーだった。 きっと美味しいものが大好きなのだろう、美味しい中華をリーゾナブルな値段で提供する、とても便利なレストランだった。ちょっと料理をするのが面倒なとき。ちょっと小腹が空いたとき。笑顔の素敵なメイさんが、いつも明るく迎えてくれるので、自然といつしか常連となっていた。 ...
- 作成日 2020年07月24日
- 8. ミチルのひとりごと ラベンダーの香り
- (コラム)
- この頃ベルギーが暖かい。10年以上前に私がベルギーに住みはじめたときは、20度を超える夏日は、1年のうちに数日だったと記憶している。25度を超える日なんて、ほとんどなかった。 事前にきちんと下調べもせず、わんさと持ってきていた私の夏服は、何年もずっとタンスの奥にひっそりとしまわれていた。活躍の機会もなく古くなってきた服を、思い切って半分くらい処分した頃から、皮肉なことにベルギーの夏が暑く、長くなってきた。最近ベルギーに来た人々は、「思ったより、いい気候ですね」と言うが、それは本当にここ数年の話だ。 ...
- 作成日 2020年07月24日
- 9. ミチルのひとりごと WELCOME to BELGIUM!
- (コラム)
- 現在、ベルギーではいくつかのフェーズに沿って、徐々にCOVID-19の規制緩和が進んでいる。とは言っても、コロナ・ウイルスのワクチンが開発されて安泰というわけではないため、1.5m 間隔をあけるソーシャル・ディスタンスや、マスク着用の奨励はこれまで通りで、お店がポツポツと開きはじめた以外、そんなに変化の感じられない日曜日。 もう警察に止められる心配はない、と100%確信できないけれども、アールヌーヴォーの地図を片手に名建築巡りをすることにした。おっかなびっくりながら、家から少し離れたサンカントネール公園まで車で行き、近くの住宅地を歩いていたら、ガイドの地図上には記載されていないけれど、明らかにアールヌーヴォー様式の素敵なアパルトマンを発見。 ...
- 作成日 2020年05月29日
- 10. 【ミチルのひとりごと】花粉症
- (コラム)
- ベルギーでも、コロナ・ウイルス狂騒曲が流れはじめた2月。私にとって毎年恒例の花粉症もはじまった。 鼻水が止まらない。くしゃみが出る。目がかゆい。鼻が詰まる。 そして辛いのは、コロナに感染しているのではないかと疑われること。最初の頃は、原因がコロナなのか花粉症なのか私自身ですら判断できず、もしかしたらコロナに感染しているのではないかと恐々としていた時期もある。しかし、心配性の私ミチルが勝手に想像を膨らませていただけで、熱が出るわけでもなく、やはり花粉症のせいらしい。 ...
- 作成日 2020年05月26日
- 11. ミチルのひとりごと コロナ・ウイルスの一週間を振り返る
- (コラム)
- ここ数日、コロナ・ウイルスのニュースが流れない日はないし、2人以上集まれば、この話題が話されないことはない。 しかし、2020年3月6日本日現在、ベルギーでは日本ほど危機感が高まっていないように思われる。なぜなのだろうか? 3月2日(月曜) 月曜日の朝、頰を軽く合わせるビズ(キス)の挨拶をしてくれるフランス語圏のビジネスパートナー・ミランダがきた。 コロナ・ウイルスなぞどこ吹く風、彼女のいつものペースで、フロアのみんなにビズをして回っていた。気がつくと、私のところにもきて、「おはよう、ミチル!」チュ!ってな感じである。 ...
- 作成日 2020年03月06日
- 12. ミチルのひとりごと ユニフォームを着ないベルギー人
- (コラム)
- まだベルギーに住みはじめて間もないころ、同僚と一緒に会社の近くの美味しいと評判のタイレストランにランチに行ったことがある。 私が店内のテーブル席の真ん中の通路を歩いていたその時、あるテーブルの人から、ちょっと、ちょっとと手招きされて呼ばれた。 何だろうと思って、側に寄ってみると、 「お姉さん、注文いい?」と言って、こちらの都合も聞かず、様々なメニューを私に注文する。私は、そのレストランのウエイトレスの女の子だと思い込まれてしまったようだ。 ...
- 作成日 2019年07月09日
- 13. ミチルのひとりごと 母の日の贈り物
- (コラム)
- 2019年の母の日は、5月12日の日曜日。もうすぐですね。 近くに住んでいたら、ラストミニッツでも何かしてあげられたりできるのですが、海外に住んでいると、計画が大切になります。 カードを送るだけでも、10日前には投函しないと間に合わないし、ギフトを郵送するなら、最低二週間前に、そうなると、プレゼントを随分前から選んでおく必要があります。 インターネットショッピングができる今、何でも買えてしまう時代。でも、みんな事前にきちんと準備しているんですね。ネットで見て素敵だなあと思った母の日限定ギフトは、すでに売り切れだったりします。 ...
- 作成日 2019年05月02日
- 14. ミチルのひとりごと 妊婦の季節
- (コラム)
- 最近、なぜか私(ミチル)の周りで密かなベビー・ブームである。 この間、前から身体全体がふっくらしている同僚のお腹が出ていることに気づき、ん?と思ったのだが、いや待て、もしかしたら、ちょっと太っただけかもしれない。「あれ、もしかしておめでた?」なんて直接本人に聞いたら、ひっぱたかれるかもしれないと思って、彼女と仲良しの別の同僚にこっそり聞くと、「そうよ。知らなかったの?」と言われた。やっぱり。でもその次がもっとびっくりした。 ...
- 作成日 2018年06月26日
- 15. 【ミチルのひとりごと】ハロウィンの夜の、怖い出来事。
- (コラム)
- ハロウィンの日。私の元には本物のお化けがやってきた。 10月31日午後8時5分過ぎ。会社帰りの運転途中、赤信号で止まっている時に、突然右側の助手席から変な音がする。 え?と思って、横を見ると、その瞬間、フードをかぶった小柄な若い男が私の車の助手席の窓ガラスを打ち破り、シートに置いてあったカバンをひったくって、逃げ去った。ほんの数秒の間の出来事だった。 前を見ると、信号が青に変わっている。頭の中が真っ白になり、とりあえず車を発進させたが、木枯らしが吹く寒くて暗い夜、このまま窓ガラスがないまま、走っていいのだろうか?と少し考えて、少し進んで路肩に駐車し、自分自身を落ち着かせることにした。 ...
- 作成日 2017年11月02日
- 16. 【ミチルのひとりごと】フランス人とベルギーのビーチに行く La Panne / De Panne
- (コラム)
- 5月の最終週、ベルギーに夏がやってきた。今年は寒い冬から突然、春を飛び越えて夏が来た感じだった。30度近い暑さになるなんて滅多にないことだから、みんな考えることは同じ。ビーチに行こう! フランス人の女友達が、北海沿岸の町 La Panne がいいというので目的地もすぐに決定! ブリュッセルから北海に行くなら、早朝に出発したほうがいいことは百も承知だったけれど、彼女も私も夜型人間のため、早くても10時発。実際にはそれも遅れて10時半頃になった。 ...
- 作成日 2017年06月10日
- 17. 【ミチルのひとりごと】バレンタイン・ワイン
- (コラム)
- バレンタインと言うとチョコレートだが、チョコレートよりは、ワインのほうが好きな彼のために、家の近所にあるワイン専門店に初めて足を踏み入れた。シックで素敵な店構えのお店なのだが、ちょっと見るだけというには気遅れがするため、気になってはいたのだが、これまで入ったことがなかったお店。 自動ドアが開くと、こちらでは珍しく、すぐにボンジュールマダムと、明るい声で迎えられた。少し店内を見て回ったところで、何をお探しでしょうかと、30歳くらいの青年が声をかけてくれる。 ...
- 作成日 2017年02月15日
- 18. お米【ミチルのひとりごと】
- (コラム)
- 私たちが引っ越してくる少し前に、この同じアパルトマンを購入したという若いベルギー人カップル。とても優しそうな(そして実際本当に優しい)ご主人と、ちょっと勝ち気な印象の奥さん。我々の上階に住む隣人である。隣人はとても重要だが選べないので、感じのよい隣人でよかったと助かっている。 そのご主人が、たまたま私が家に入ろうとしていた時に、階段を降りてきた。急いでいるようなので、ボンジュールと挨拶だけすると、彼が、ふと立ち止まり、「もしかして。。。お米はないでしょうか?」と私に聞くのだ。 ...
- 作成日 2016年10月25日
- 19. ミチルのひとりごと「同性愛」
- (コラム)
- 先日のゲイパレードの想い出。 少し肌寒いが晴れた土曜日、ブリュッセル特有の緩い感じでパレードがはじまった。テロ事件の影響だろう、例年よりは警戒態勢が少しシビアになっており、入り口を少し狭めたり、鞄をチェックするような人々を配置はしているが、まあパレードしている人々と、それを見る見物客との境に引いてあるPOLICEと書かれたテープもあまりに低くて、すぐに跨げるような有様。ノリノリの観光客がパレードに許可なく当日参加していても、まったくバレない。 ...
- 作成日 2016年06月09日
- 20. 【ミチルのひとりごと】花火の思い出
- (コラム)
- 7月21日、ベルギー建国記念日。ベルギーでは花火が上がる。花火と言えば、日本で隅田川の花火大会を思い出す。 そもそも東京は人が多い。花火の会場はさらに混む。自分のペースではまっすぐ歩くことなどできない。あまりの人の多さに酔いそうになる。 その日は、当時お付き合いしていたボーイフレンドと二人で、隅田川の花火デートだった。慣れない浴衣と下駄を履き、屋台から流れてくる美味しそうな匂いに誘われて、よそ見ばかりしているので何度も転びそうになる。日本の花火はやはり美しい。世界で一番だと思うのは、日本の花火師が、美しさと儚さを表現しているからだと思う。 ...
- 作成日 2015年07月09日
- 21. 【ミチルのひとりごと】お子様(だけ)ランチ
- (コラム)
- 先日ミディ駅の近くに行く用事があった。ランチタイムになり、アラブ人が経営している美味しい魚介類のレストランが並ぶスターリングラード通りに入ると、なぜか、ほとんどの店にシャッターが下りている。土曜日なのにどうしたのだろう?と考えて、ようやく気がついた。そうだった、今年は、もうラマダンに入っているのだ。 道理で、いつもはアラブの男性たちでごった返している界隈が、やけに寂しいわけだ。レストランの椅子に座って話しこんでいるアラブ人の男性たちも、よく見るとテーブルの上には何もない。夜の10時になるまで、水も飲めないのだから、当然だろう。お腹がすいた私は、しかたなく駅前のファーストフードショップで空腹を満たすことにした。幸いここは開いているようだ。中に入ると、アラブ人の子供連れの家族が何組か座っている。アラブ系だけれど、実はイスラム教徒ではないのだろうか? など考えつつ、彼らをよく見て、はっとした。 ...
- 作成日 2015年06月29日
- 22. ミチルのひとりごと クレープ屋さん
- (コラム)
- サブロン広場からそう遠くない場所に、お腹がすいていたミチルが見つけた、クレープ屋さん。ベルギーに住んでいるくせに、ワッフルよりも、クレープの方が口に合うミチルは、クレープ店を見つけると入らずにはいられません。 若いカップルが2人で頑張って切り盛りしているその店は、テーブルも6つしかなく、15人も入ると一杯になってしまうような場所。丁度1つだけ空いた席に腰を下ろして、メニューを見ていると、隣のテーブルの人たちに、美味しそうなワッフルやクレープが運ばれてきました。小さなテーブルに7人で、所狭しと座っているその人たちは、言葉から察するに、ギリシャ人のグループのよう。 ...
- 作成日 2015年03月29日
- 23. 暖房のない冬の日
- (コラム)
- 日曜日の朝。素敵な青空が広がっているのに、起きると冷えこみがひどい。例年に比べて今年は暖冬だけれど、今頃になって寒くなってきたんだと思いながら温度計を見ると、なんと2度。家の中なのに、ちょっと寒すぎない? それにしても近年まれな冷えこみだわ。などと考えながら、暖房用のラジエーターがMAXの5に設定されているか確かめようとすると・・・。なんと暖かいはずのラジエーターが氷のように冷たいではないか。寝室のラジエーターだけが壊れているのかと思い、慌てて他の部屋もチェック。なんと全滅。なんてこと! この寒い冬に、暖房がないなんて。 ...
- 作成日 2016年03月09日
- 24. 誰でも運転免許証のもらえた国・ベルギー
- (コラム)
- ずいぶん前の話になるが、まだ私がベルギーに来たばかりで、この国で運転するのに頭を悩ませていた頃、あるホームパーティで知り合ったイギリス人夫婦から、こんな話を聞いた事がある。それは、ベルギーという国は、実はかなり最近まで、誰でも運転免許証がもらえた、という話である。 なぜこんな話になったかというと、日本でペーパードライバーだった私が、突如、リアルドライバーとして毎日運転を強いられるようになり、日本でほとんど運転したことがなかったことも手伝って、ただまっすぐ走れば良いはずの高速道路でさえ、迷惑をかけるような運転をしている気がして、あの頃は慣れた今と違って一番右の遅いレーンを一番のろまなトラックの後ろをゆっくり慎重に運転していた頃だった。ベルギーで運転するのは、怖い。だって日本と違って直進車ではなく、右から突然飛び出てくる車が優先されるんだもの。 ...
- 作成日 2015年06月16日