- 1. 『ユートピア』トマス・モア著 ベルギーで誕生した社会思想
- (文学)
- ユートピアと聞いて、何を想像するだろうか? 平和で愛に溢れた理想郷? 全体主義の恐ろしい世界? イギリスの思想家トマス・モアが、欧州大陸で人文主義者たちと交流するなかで生まれた『ユートピア』という本は、1516年にベルギーの学園都市ルーヴェンで初版が出版された。 ユートピアは世界のどこかに浮かぶ島国である。海で他の国々から隔絶され、独自の価値観、倫理観を持った民族が、ヨーロッパとは違う社会を創り上げている。その社会が優れているのか、もしくは理想ではあるが実現には存在しえないものなのか、船乗りラファエル・ヒスロデイがモアに語るユートピアの様子は、現代の我々にも考えるヒントを与えてくれる。そして、英国がブレグジットで揺れる今こそ、『ユートピア』の移民問題、貿易問題、外交姿勢についてチェックしてみるのも、一興である。(絵はトマス・モアの肖像画) ...
- 作成日 2019年04月18日