2021年元旦からブリュッセル市内は、ほぼ全域が時速30キロ走行に統一。

2021年元旦からブリュッセル市内は、ほぼ全域が時速30キロ走行に統一。

2020年12月初旬、ブリュッセル在住の市民に一枚の地図が送られてきた。「Ville/Stad 30」と題された内容は、年明け1月1日から首都圏内のほぼすべての車道が時速30キロ制限となり、さらに人通りが多い場所では時速20キロの徐行が求められるというものだ。

この施策の主な目的は、交通事故数の減少である。ブリュッセル市では、速度が原因で毎年50人が死亡もしくは重傷を負っている。

 

ブリュッセル市内に配布された地図。ほぼ全域の青い道路が時速30キロ制限。オレンジ色の主要道路は時速50キロで走行可能だが、かなり限られている。

幹線道路は時速50キロもしくは70キロで移動できるが、場所は限定的である。トラムや行政の車両以外は、自動車はもちろんバイクや自転車なども対象となる。監視カメラも90台から150台に増加され、違反には罰金が課せられる。

環境面で考えると、内燃機関は時速30キロではむしろ燃費効率が悪く、汚染をより排出するが、加速減速の少ない交通のスムーズな流れが、結果として大気質の改善や騒音低減につながると言われる。

現在、欧州のいくつかの都市で実施されているが、当初は戸惑いがあるものの、しだいに慣れて市民の支持も広がる例が多いようだ。

 

欧州委員会のアディナ=イオアナ・バレアン運輸担当委員。

 

大きな地図から交通安全を考える

欧州連合を全体で見ると、2019年は加盟諸国で2万2800人が交通事故で亡くなっている。2010年から23%、7000人減少してはいるが、欧州委員会のアディナ=イオアナ・バレアン運輸担当委員は、2050年までに交通事故ゼロを達成するという目標を掲げ、2030年には半減させることが可能であると述べている。

EU加盟国で100万人あたりの死者数を見ると、一番安全なスウェーデン(22人)やアイルランド(29人)に比べて、ルーマニア(96人)やブルガリア(89人)、ポーランド(77人)は、安全対策が遅れていると言わざるを得ない。

バレアン委員自身がルーマニア出身なのは運命の皮肉だが、それだけに委員も人命を救うために努力しているのだろう。「国家間の差が大きいが、法整備、適切な資金投入、車両とインフラの基準、デジタル化、ベストプラクティスの交換を通じて目標は達成できる」と発言した。

 

 

ブリュッセル首都圏政府のエルケ・ファンデンブラント運輸担当大臣。

 

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