レインボー連立は可能か? ベルギー無政府状態の半年

レインボー連立は可能か? ベルギー無政府状態の半年

ベルギーは無政府状態である。というのが、通常状態になりつつある昨今。5月に総選挙が実施され、その後どうなったのだろう?と首をかしげる人は多い。結論から言うと、まだ「連立に向けての交渉中」というのが現状である。

比例代表制、投票が義務など、ベルギー選挙の特徴と、言語によって二分された多言語社会の引き起こす摩擦によって、ベルギーでは小さな政党が多く出現してしまう傾向にある。

5月に選挙が終わり、時は流れて半年が過ぎても、立場の異なる政党が合意に至るには、まだまだ時間が足りない。そうこうしているうちに、シャルル・ミシェル首相が欧州理事会の代表に選ばれ、自国ではなく欧州全体の政治に活動の場を移す。そのために、ミシェル氏の所属するMR党から女性大臣が総理大臣へと異動になったが、これは臨時の職である。

さて、11月20日時点での現状はというと、仏語系の社会党(PS)の代表であるポール・マニェット氏がインフォルマターという調整役を国王から任命され、各党との交渉に臨んでいるところだ。(延長されて11月25日まで)

ベルギーも欧州諸国の例にもれず、以下のような政治風景が広がっている。

極左、社会党、環境、リベラル、キリスト教、分離派、極右

距離の近いグループがひっつくわけで、まさか極右と左派が意気投合することはない。だいたいにおいて、社会党、環境、リベラルなどが中道左派のミックスになるか、リベラル、キリスト教、分離派あたりが中道右派のミックスで固まるか、歴史的にはこの二つでベルギーは揺れてきたわけだ。

現在の調整役であるマニェット氏(社会党)は、当然、左派連合を目指すわけであるが、小さな政党を寄せ集めて過半数に到達できるかどうかが、彼の手腕にかかっている。

各党の色がバラバラなので、メディアでは「レインボー連立」と呼称されている。

レインボー連立の例:
連邦下院(76議席/総議席150)

【仏語】
●社会党(PS)20議席
●改革運動(MR)14議席
●エコロ(Ecolo)13議席

【蘭語】
●社会党蘭語(sp.a)9議席
●フランダース自由民主(Open VLD)12議席
●フルン(Groen!)8議席

これにキリスト教系の政党が加わる、もしくは環境政党の代替になる、といったシナリオも考えられなくはない。規模は小さいが、プラスであることは間違いない。

●中道民主人道主義(cdH)5議席
●キリスト教民主フランダース(CD&V)12議席

 

最大の問題は、フランダース地方最大の政党であるN-VA党(25議席)を排除したかたちでの政府が、国民の信頼を勝ち得ることができるのか?という点につきる。

さらに躍進目覚ましいフランダースの利益党(Vlaams Belang 18議席)も加えると、43議席もの大きな民意をばっさりと切り捨てることになる。

しかも、フランダース地域政府はN-VA、Open Vld、CD&Vで、すでに組閣されている。地域では仲間、連邦では敵という「ねじれ現象」が持続可能なのだろうか? ちなみにCD&Vはレインボーに否定的な態度を取っており、最大政党であるN-VAとPSをどうにか連立させたいと考えている。

水面下での交渉では、N-VA党が社会保障制度の分離を求めて強硬姿勢を貫こうとしているようだ。ベルギー北部のフランダース地方と、南部のワロン地方では所得格差があり、ある意味においてフランダースは、ワロンを経済的に援助している格好になっている。そのため、南北で社会保障制度を分離させたいという要望がある。

多くの分野において南北の分離が国家改造として段階的に進められてきたが、この社会保障がベルギーが一つの国として存続するうえで最後の砦のように見えてきた。

北と南では、分離の是非についての見方は180度異なる。どちらが正解とも言えない。難しい問題であることは確かだ。

政局の面でいうと、N-VAが社会保障に関して強行になればなるほど、極右政党しか仲間はいなくなり、他の政党は小さい所帯を寄せ集めてレインボー連立の可能性が高くなる。

最大政党を野党にしてしまう虹がベルギーにかかる日は来るのか?

 

20.nov.2019

 

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