ベルギー連邦政府と自治体からなるコロナ対策協調委員会が開催され、以前から議論されていたバロメーターを1月28日から導入することが決定された。
バロメーターは「赤」「オレンジ」「黄色」の三色に色分けされており、赤が一番危険な状態である。主に医療機関への負担の状況、そしてその増減の傾向にフォーカスし、状況を総合的に判断して色を変えることになる。つまり、「入院者数が何人だから色はこれ」というような自動運転ではない。
赤:医療が逼迫するリクスを抱えた状態
オレンジ:医療への負担が増大傾向で対処が必要な状態
黄色:感染の世界的拡大=パンデミックではなく、地域的流行=エピデミックになり、医療の負担もコントロール下
バロメーターに緑色はないため、黄色の次はバロメーター自体が消滅し、コロナ以前の普通の生活に戻ることを意味する。
1月28日には「赤」からこの制度がスタートする。以下に簡単に政府発表をまとめる。「赤」からはじまると聞くと身構えてしまうが、施策は緩和の方向性に向かっている。
パブリック・イベント
劇場やサッカーの試合など、一般の観客を対象としたイベントは野外室内を問わず開催可能。
ただし、室内でダンスをするなど動きの多いものは例外で許可されない。
マスク着用は義務。
参加者が室内50人以上、野外100人以上の場合はCST(Covid Safe Ticket)によるチェックが義務。
200人以下のイベントは開催可能。
大きな会場の場合は70%まで客を入れてよい。
結婚式、葬式は現状通り可能。
グループ活動
子供の運動やアマチュアのグループ活動などは屋内80人、野外200人まで可能。
キャンプや宿泊も許可される。
屋内空間の活動再会
ディスコやダンスなどは例外だが、以下の屋内空間の使用は今後許可される。
対象は、遊園地、屋内遊戯場、動物園、亜熱帯プール、プールの遊戯スペース、トランポリン、ボーリング、ダーツ、スヌーカーやビリヤード、ペイントボール会場、レーザーゲーム、エスケープ・ルーム、カジノ、自動ゲーム場など。
テレワーク、ショッピング、マスク着用
現状維持。週4日は自宅勤務などテレワークをするのが義務。
ショッピングは一世帯あたり二人が一緒にお店に行ってよい。
マスク着用も現状維持。商店、公共交通機関など屋内ではマスクを着用しなければならない。
CSTに有効期限を設定
ワクチンは時間とともに効果が減少すると考えられているため、3月1日から有効期限を270日から150日に短縮する。
つまり、ワクチン接種から約5ヵ月間たつと、CSTが無効になり、ワクチン証明が必要なレストランやイベントなどに参加できなくなる。
例えば、10月1日以前に二度目のワクチンを接種したが、まだ三回目のブースター接種を受けていないという人のCSTは3月1日から失効する。
参考ページ(ベルギー首相)
現在、ベルギーでは周辺の欧州諸国と同じくオミクロン株が感染拡大をしている。すでにはっきりと医療統計にも現れているように、オミクロン株は感染力が強いと同時にワクチン接種をした人には重症化リスクが低い。より危険性の高いデルタ株は消滅したとは断言できないものの、割合はかなり低くなってきていると考えてよいと思われる。
インフルエンザや風邪と同じように考えたほうがよいという風潮もある。しかし、急速に方向転換することも社会的なストレスを生みかねない。
イギリスのように、コロナ対策を急速に緩和し、ナイトクラブも再開という極端な施策は、慎重なベルギー政治では、にわかには考えられない。
ただし、文化やイベントのセクターの締め付けが、周辺国と温度差を生むようだと、陸続きの欧州という特徴を考えると、ベルギーだけ強固な施策をする意味はない。
多くの要素を計算に入れながら、「コロナ前の普通の生活」に戻る努力が官民で続く。