新学期や事業の開始となる9月が目前に迫り、コロナ感染状況とその対策について、見直す時期がやってきた。自宅でじっと巣ごもりをしていた方も、コロナ対策の工夫をしながら家族でバカンスを楽しんだ方も、ベルギーの現状を把握して、今後の生活プランをたてましょう。パリが赤ゾーンに指定されるなど影響は甚大。最新情報はできるだけ理解しておきたいものです。
ベルギーの感染状況
ベルギーでは7月のはじめ頃から、感染者数の再拡大が問題視され、連邦政府と地方自治体は、社会的グループを5人に限定する、野外でもマスクの着用を義務化するなど、より厳格な措置をとってきた。
その結果、8月中旬頃から感染者数の減少傾向が認められ、入院者と重症化の人数も、第一波よりは確実に低く抑えることに成功してきた。
現在、入院患者数は261人。集中治療室の患者数は81人。ベルギー全体の病院のキャパシティーからすれば、対応にはまったく問題のない数である。1日あたりの死者数も平均6人で、一時期に比べるとだいぶ減った。(8月26-27日時点)
感染抑止と人間の社会活動が相反するファクターであるため、ワクチンなど決定的な解決法が実現する前には、コロナ感染の波の上下運動を注視しながら、これまでどおりの封じ込め措置とその緩和が繰り返されることになる。
実効再生産数とは?
最近、Rtという見慣れない記号がメディアで踊っている。これは「実効再生産数」というもので、現実世界でコロナ感染がどのくらいの勢いで拡散しているかを示す目安である。1人の人が2人にうつす場合Rt 2となり、逆に2人の感染者がいても1人しか感染しない場合はRt 0.5となる。
ベルギー政府は1週間単位のコロナ実効再生産数を発表している。これは入院者数をベースに算出したものだ。ブリュッセルはRt 1,039に対し、アントワープはRt 0,863である。(8月20-26日)当然、ブリュッセルは横ばい〜微増、アントワープはそれなりに抑制されていると読み解くことができる。
現在、アントワープ、ブリュッセル、リエージュ、ナミュールの各都市と、州単位でRt数値がモニタリングされている。
移動の自由はどうなる?
ベルギー外務省は、EU加盟国とシェンゲン加盟国内での移動を原則としては認めている。しかし、相手国のコロナ感染状況しだいでは、全面的もしくは部分的に、渡航を禁止または制限するなどの対応をしている。
【赤ゾーン】(渡航禁止):観光旅行や不要不急の移動は正式に禁止。この地域からベルギーに帰国した場合は、PCR検査と14日間の自己隔離が義務となる。
【オレンジ・ゾーン】(渡航は可能だが注意が必要):ベルギーからの旅行者を拒否する可能性や、提出書類がある、または自己隔離の必要があるなど、ルールを守る必要がある。
【緑ゾーン】(渡航可能):感染リスクが低い国と地域だが、急に状況が変化することは十分想定されるので、ベルギー帰国前には外務省サイトでチェックが必要。
ベルギーでは、8月1日から「渡航者追跡フォーム」が導入され、48時間以上のベルギー国外滞在の場合には、旅行先の滞在記録を提出することが義務づけられた。
バカンス・シーズンで多くの人たちが移動し、ベルギーの8月の感染者の22%がバカンスなど旅行から帰ってきた人である。しかし、ブリュッセルではリスクの高い赤ゾーンから帰国した人の4割しかPCR検査を受けていないとの統計もあり、今後はこちらも罰則強化が予想される。
最近パリ市内が赤ゾーンに指定されたので、仕事や観光でパリに行こうとしていた人は予定の変更が必要になる。
テレワークはどうなる?
ベルギー政府は「可能な限りテレワークを推奨」という方針を常に出している。しかし、それが不可能でオフィスで働く場合は、1.5メートルの距離をとる、仕切りの設置やマスク着用などを徹底するよう呼びかけている。
細かいガイドラインは、欄外にリンクを用意した。
生活用品の買い物について
家から出る大きな理由のひとつに、食材や生活用品の買い物がある。
・8月24日から、家族二人での買い物が許可されている。
・マスク着用は義務。
・現在、お店の滞在時間の制限は設けられていないが、小さな商店などは手早く買い物を済ませるのがエチケットか。
社会的な接触
・社会的グループ=5人まで
同じ家に住む家族以外で、自宅に招くなどプライベートで会ってもいい人数は5人まで。以前は1週間ごとに変更してもいいとされていたが、8月27日現在、これはずっと同じ人に限られ、1週間ごとに更新されない。
・小規模グループの野外活動=10人まで
散歩に行く、自転車のツアーをするなどの野外活動は、1.5メートルの距離を確保することを条件に10人まで集まることを認められる。
マスク着用義務
ベルギー全土で、基本的に店舗内や公共交通機関など、密閉空間では着用義務。
それ以上の義務化は、地方自治体によって異なる。例えば、ブリュッセル首都圏では、自宅を一歩出ればどこでもマスク着用の義務。リエージュなどは、人が密集する場所に限って義務という方針。
ウィズ・コロナの新生活
日本のようなコロナ感染者に対する世間のバッシングのようなものは、ベルギーではあまり見聞きすることがない。個人の自由に干渉しない、されたくない国民性が、批判合戦を生み出していないのであろうか。
しかし、長引くコロナ生活にストレスが蓄積されているのは事実である。上記のルールを守りつつ、ガイドに従いつつも、自分自身と家族、そして隣人たちの精神衛生にも、ぜひ心を配っていただきたい。
参考LINKs:
ベルギー外務省(渡航状況チェック)
https://diplomatie.belgium.be/fr
渡航者追跡フォーム
https://travel.info-coronavirus.be/fr/public-health-passenger-locator-form
ベルギー政府による常に更新されている最新のコロナ対策Q&A(仏蘭独英)
https://www.info-coronavirus.be/en/faq/
ベルギー当局による職場のコロナ対策まとめPDF
・仏語バージョンLINK
https://emploi.belgique.be/sites/default/files/content/news/Guidegenerique_light.pdf
・蘭語バージョンLINK
https://werk.belgie.be/sites/default/files/content/news/Generiekegids_light.pdf