デレーズがストで閉鎖。大手スーパーの危機が続く
3月7日、火曜日の朝にベルギーの大手スーパー、デレーズの経営陣が128ある直営店をすべてフランチャイズ化すると方針を発表した。
全体では764店舗あるなかの17%ほどであるが、直営店から独立店舗に変更されることで、給与や条件が低下するのではないかと疑念を持った労働組合が、即時ストライキを決定した。ほぼすべての直営店、さらに独立系店舗も歩調を合わせるかたちでストを決行したところもある。
郊外にある生鮮食品の配送センターも組合員が閉鎖しようと100人ほど集結したが、警察や司法の介入もあり、かろうじて配送業務が続けられている状態だ。
(写真上/ブリュッセル市内のデレーズ。3月25日の様子。駐車場の入口が閉ざされている)
労働者の懸念事項
閉鎖中の店舗に貼られた労働者側の主張は以下の通り。まずは25%の給与の減少、ミールバウチャーの廃止、年1ヵ月分のボーナスの廃止、交通費の支給廃止、病欠や年金の保険の廃止、日曜祝日の営業開始、雇用主が変更になることによる勤続年数のリセット、その影響により解雇が容易になること、組合の廃止、また顧客にとっては価格上昇とサービスの低下などなど。
現在、直営店では9000人の従業員を雇用している。
ベルギー市場の現状とデレーズ経営陣の主張
ベルギーでは人口1万人あたり平均で3,4店舗のスーパーが存在する。隣国オランダの1,79店舗と比較しても、スーパーの数が多いのが特徴だ。業界としては競争が激しい市場であるといえる。
その一方で、デレーズ経営陣は128店舗の直営店はすぐにフランチャイズ・オーナー企業が見つかるであろうし、労働者の給与条件は確保したまま引き継がれると強気の姿勢だ。
すでにフランチャイズである8割の店舗は、ここ数年の業績が好調であるというのが理由だ。また、直営店をなくすことで本部をスリム化することも視野に入れている。
急なフランチャイズ化の発表で混乱が続くデレーズ。労使の溝は深く、組合は徹底抗戦の構えだ。ストはさらに長期化するかもしれない。
Delhaize デレーズ
1867年創業のベルギーを代表するスーパー。デレーズ兄弟がはじめた食料品店はチェーン店展開が成功し、1957年にはブリュッセルのフラジェイ広場に欧州初のセルフ・サービスのスーパーマーケットを開店した。アメリカ、ルクセンブルク、ギリシャ、ルーマニア、インドネシアなど世界展開している。
2015年にはアルバート・ハインとして知られるオランダのAhold社と合併しグループを形成。
Ahold Delhaize全体としては、アメリカでの売上が6割以上と大半を占め、実は世界企業としての顔も持ち合わせている。
店の入口はカートで作ったバリケードで入れない。
仏蘭で書かれた労働者の主張。「全店フランチャイズなんて、ノン・メルシー」
店内では数人が座り込みで抗議を表明中。