女性のほうが給与が高い?ワロン地方で驚きの結果
男女の賃金格差をめぐる驚くべき調査結果がある。ワロン地方においては、女性の平均月給が男性のそれを上回っているというものだ。
ベルギー統計局(Statbel)が、2020年に約130.000人のフルタイムで働く従業員に対して行ったアンケートによると、ワロン地方では平均月給が男性3.551ユーロ、女性3.573ユーロで、女性が男性を0,6%上回った。
北のフランダース地方では男性3.780ユーロ、女性3.739ユーロで格差は1,1%。ブリュッセル首都圏地域では男性4.631ユーロ、女性4.383ユーロで格差は5,4%と、それぞれ男性のほうが平均月給が高かった。
男女給与ギャップでベルギーは欧州6位
この統計をベルギーの国全体として見ると、依然として男性のほうが平均月給が高いのが現状ではある。
ただし男女格差は2010年の10,2%から2020年の5,3%へと確実に縮まった。(EUの統計基準)これは欧州諸国中6番目の水準で、ベルギーが男女平等社会の進展している国であることが証明されたかたちだ。
ちなみに日本では男女の賃金格差が22,1%であり、一桁台になるまで努力してきたベルギーとは大きな開きがある。(2021年OECD発表)
なお、本統計は10人以上の従業員を抱える会社においてフルタイムで働く従業員のみを対象とし、農業・漁業従事者、公務員、教師、医療従事者などは調査対象から除外されている。
本当の男女平等はまだ実現していない?
ベルギーの労働組合であるFGTBは、男女の給与にはいまだに22,7%の開きがあると主張している。
先述の調査は「フルタイムで働く従業員だけ」を対象としている。その枠内だけを見れば男女格差の是正は進展していると言えるが、働く女性の43%が非正規雇用であるという現実は十分に反映されていないとFGTBは主張する。家庭や育児との両立が困難などの理由で、非正規での雇用を余儀なくされている女性も多い。
正社員になったとしても、女性は男性に比べて企業内での昇進が難しく、CEOにおける女性の割合はわずか3%にとどまる。いわゆる「ガラスの天井」も完全には解消していないようだ。
Plafond de verre/Glazen plafond/ガラスの天井
社会において女性の地位向上には目に見えない障害が存在する。
会社でも昇進が遅く、ある程度の役職になれたとしても、組織のトップに立つのは難しく、どこかの段階で見えない天井に上昇を阻まれる。
一般企業や公的機関を問わず様々な組織に共通して見られる現象であり、性差別的な文化が根強く残っていることの表れと言える。
男女の機会均等が実現すれば、企業活動もよりすぐれたパフォーマンスを実現する可能性が高まる。
逆にガラスの天井を放置しすれば、潜在的に大きな損失を出し続けることになるかもしれない。