ロシアで生産開始? 人気ベルギービールのレフ

ロシアで生産開始? 人気ベルギービールのレフ

ウクライナ戦争がはじまってからすでに半年が経つ。EUをはじめ国際社会はロシアに経済制裁を課すことで、戦争を終結させるよう圧力をかけてきたが、今のところ目に見える成果はあがっていない。


ロシアでの生産活動を再開?

ベルギーのビール会社大手であるAB InBev社も、4月の段階でロシア国内にある工場の生産や販売などの活動を停止させると発表した。

ところが8月に入ると、人気主力商品のレフを現地ロシアの工場で生産するというニュースが駆け巡り、ネット社会が騒然となった。

ベルギー国営放送RTBFの事実調査チームが情報の出所を探ると、在ロシアのベルギー・ルクセンブルク商工会議所のツイッター上での発表に行き着いた。AB InBev社がレフのブロンドとブラウンをロシア国内7カ所で生産を開始すると書かれている。

これをウクライナの前大統領夫人のカテリナ・ユシチェンコがリツイートし、「AB InBevが大量虐殺を支持するなんて見苦しいことだわ。西ヨーロッパの人々は他人の不正にはとやかく言いたがるわりに、自分たちはモラルよりお金を選ぶのね。レフ・ビールをボイコットしましょう」と書き込んだ。

RTBFの調査結果

ユシチェンコ夫人の憤りも至極当然だが、現地の事情はいささか複雑なようだ。


まず、ロシア国内で操業しているのがAB InBev社単体ではない。アナドル・エフェス(Anadolu Efes)というトルコの大手ビール企業とのジョイント・ベンチャーとしての企業活動であり、これまでも現地でステラ・アルトワ(Stella Artois)、コロナ(Corona)、ブラマ(Brahma)、エフェス(Efes)など75銘柄を製造してきた。

元来レフは本社のあるルーヴェンで生産してきたのだが、経済制裁でロシアへの輸入が困難になったためか、今後はロシアでの現地生産に切り替えるという新方針が共同事業体により打ち出された。

もし実際にこれらの銘柄がロシアで流通し続けると、企業イメージは大きく毀損されることだろう。


トルコ側に出資比率を売る交渉

ウクライナ戦争において、トルコはロシアにつかず離れず、東西の間で微妙な立ち回りを演じている。

AB InBev社は共同事業の出資比率をトルコ側に売り、ロシア・ビジネスからは距離を置きたい意向である。

その交渉テーブルの上には、特定のブランドのビールはロシアで生産しない、という条件も入っていると報道されている。

エフェス・ビール(トルコ)

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