ワロン地方の環境政党ecoloの共同代表ジャン=マルク・ノレ(Jean-Marc Nollet)が、連立政権について独自のアイデアを展開して話題になっている。
社会党PSと環境政党ecoloの連立を「赤い花と緑の枝葉」のイメージで「コクリコ」(ヒナゲシ)に例えて、彼らが中心となってワロン政府を形成すべきであると訴えた。
また、政治家だけですべてを決めずに、民間人を積極的に登用する新しいスタイルについても言及している。
ecoloは民間社会に開かれたワロン政府の創造を提案(仏語)
Ecolo propose la création d’un gouvernement wallon ouvert à la société civile
民間人をどこまで登用するかについては、意見が分かれるところであり、選挙で当選して民衆の信託を受けた政治家こそが政治を運営すべきであるという反対意見や慎重論も多い。
ワロン地域の連立への数合わせ
ベルギーの南部であるワロン地域は議会全体が75議席。つまり過半数を獲得するのは38議席が必要である。
2019年5月の選挙で社会党PSが23議席。環境政党ecoloは12議席を獲得した。合計35議席。そうなると過半数まで3議席足りない。
コクリコ連立を成立させるには、他党を招き入れる必要がある。リベラル政党MR(20)、キリスト教保守党cdH(10)、極左政党PTB(10)のいずれかである。
左派連合であるコクリコとしては、同じく左派のPTBを招待しているところだが、今のところPTBから前向きな返事は得られていない。
それどころか、PTBは公共住宅の建築推進など自分たちの政策を実現したいと考えているが、PSは交渉テーブルで取り合ってくれなかったと憤懣やるかたない。
もしPTBが参加しない場合、左派連合は成立せず、3議席足りないためにコクリコも咲くことはない。
マイノリティー政権!?
過半数をとらなければ政権をとれないという「常識」があるなかで、ノレ氏は「マイノリティー政権」を目指しているのかもしれない。
つまり、議会で過半数を確保できていない状態で、政府を運営することだが、現実として例がないわけではない。ミシェル首相のベルギー政府もNVAが離脱したことで過半数割れを起こしている。
ノレ氏は、あと3議席が足りないことを「市民に開かれた政府」というレトリックで誤摩化して、コクリコを咲かせようとしているようにも見えるが、この作戦は成功するのであろうか?
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