現在のシャルル・ミシェル首相が、欧州理事会の常任議長に正式に就任するのが12月1日。それまでに連邦政府が成立すれば問題ないが、5月の選挙から各党間の交渉が順調に推移しているとは言いがたい。現在ベルギー連邦政府は「臨時」の状態であるが、ミシェル氏が転籍して首相が不在というわけにもいかないため、後任の首相が必要となってくる。
後任の候補としてあがっているのが、法務大臣クーン・ヒェーンス氏(Koen Geens、CD&V)と予算大臣ソフィー・ウィルメス氏(Sophie Wilmès、MR)である。もしウィルメス氏が後任となった場合、ベルギーの歴史上、初の女性首相の誕生となる。
ソフィー・ウィルメス(Sophie Wilmès)
1975年ブリュッセル(イクセル地区)生まれの現在44歳。父はルーヴァン大学(仏語)の経済学教授で行政関係のポストも歴任し、母も行政の仕事で活躍した。ウィルメス自身はコミュニケーション、財政関係の学業を経た後、広告業界に就職。欧州委員会の予算管理部門で研修し、弁護士事務所でも同様に企業の財政を扱う経験を積む。2000年から地方行政の仕事をはじめ、2014年に連邦下院の議席を得た。翌年、転籍する予算大臣の後任として大臣に就任。以来、ミシェル内閣の予算大臣として活躍してきた。MR所属。
青い鳥でも何度かお伝えしているように、N-VAが離脱したために、現在の連立政権は下院議席の過半数を割った状態で運営されている「事務管理政府」である。「臨時」といってもよく、大きな政治決定をしてはいけない政府だ。憲法に照らし合わせて国民の信認を得た状態とは言えない。したがって、もし彼女が女性首相となったとしても、2019年5月の選挙の結果を受けて新しい内閣が成立していない状態ならば、民主主義の政治における真の意味での「女性首相誕生」ではない。
ソフィー・ウィルメス(経歴)
http://www.sophiewilmes.be/qui-suis-je/
6.sep.2019