ヴィヴァルディ連立とは? 四季はN-VA抜きの4色

ヴィヴァルディ連立とは? 四季はN-VA抜きの4色

無政府というと語弊があるが、昨年5月の国政選挙から9ヶ月の間、新政府を組織することができていないベルギー。基本知識と最新の状況をご説明します。

比例代表制による少数政党の乱立

選挙後すみやかに政府が誕生しない根本的な理由は、ベルギーが採用している「比例代表制」という選挙制度にある。

これは、10の州と首都ブリュッセルの合計11の選挙区を設定し、そのなかで各党の得票数に応じて、議席が割り振られるというもの。メリットとしては、いわゆる死票が少ないので、民意を細かく反映できる。逆に言うと、小さな政党が数多く誕生するために、大政党がおおきなリーダーシップを発揮することができないというデメリットでもある。

王様の指名で交渉役が決まる

これもベルギー特有だが、現在の国王フィリップが、連立政権の交渉を担当する責任者を指名することができる。

最近では、ジョルジュ=ルイ・ブシェ(Georges-Louis Bouchez, MR党)とヨアヒム・クーンス(Joachim Coens, CD&V党)の二人が大連立を達成するかに見えたが、ブシェ氏が「ひとつのベルギーに賛成」と雑誌のインタビューで発言したのが引き金になり、フィリップ王が交渉役を解任した。分離派のN-VAを刺激する発言であり、調整役であるはずの人間が、このタイミングで自身の政治観を押し出すのはまずかった。

そのため新たに法相クーン・ヘーンス(Koen Geens, CD&V党)が指名された。ところが、ポール・マニェット(Paul Magnette, PS党)が、「フランダースの独立派と交渉しろという話ばかりで、うんざりだ」と発言し、面子をつぶされたヘーンス氏は2月14日バレンタインの晩に交渉役を自ら辞任した。

現時点では、上院と下院の議長たちが交渉役に任命されているが、状況が容易に打開されるとは考えにくい。

連立が難しい理由

フランダースの第一党N-VAは、ベルギー連邦の国家改造を進めて、社会保障や年金など、現在連邦政府が管理する予算を地域ごとに移譲することを求めている。

国家自体の「解体」までは求めてはいないが、経済的に立ち後れているワロン地域とは「お財布を分けたい」という本音が、この政党の求心力になっている。

一方、ワロンの第一党PSは、弱者救済の社会主義政党として、N-VA党の分離活動を非難している。

北と南の二極が大きく対立している状況のなかで、間に挟まれたキリスト教政党やリベラル政党は、民意を尊重するならば、それぞれの地域で一番支持されている大政党が政権に入って、その責任を果たすべきであると考えてきた。

しかし、N-VA党首のバルト・デウェーフェル(Bart De Wever)も、PS党首のポール・マニェットも、強気の性格の持ち主で、特にマニェットの「うんざりだ」発言以降、両者の関係は非常に悪化した。

N-VAとPSの舌戦が収まらないかぎり、両者が政権を同時に担うことは難しいだろう

ヴィヴァルディ連立とは?

南北の二大政党が対立するならば、どちらか一つを中心とした政府を摸索する必要がある。というわけで、今、可能性が高いと考えられているのがヴィヴァルディ連立。

18世紀イタリアの作曲家アントニオ・ヴィヴァルディの「四季」になぞられて、4つの政策ファミリーからなる政権を作ろうという構想である。

4つとは、社会主義、リベラル主義、環境、キリスト教。それぞれ赤、青、緑、オレンジの色で象徴される政党が集まろうというものだ。

N-VAはここに入らない。ある意味で、そこが一番の特徴といえる連立構想である。大きな支持層を持つN-VAを政権から除外する場合、フランダースの民意がベルギーという国家からさらに離れてしまう危険性もはらんだ選択になる。


23.feb.2020

Hiroyuki YamamotoReporter
ブリュッセル在住。青い鳥編集長。ベルギーの政治経済ニュースを現地から発信。多文化国家にして欧州の中心という特殊な状況を読み解き伝える。

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