地下および海底に敷設する高圧電力ケーブルの販売に際してカルテル行為を働いたとして、日系企業を含む11メーカーに合計約3億164万ユーロ(約422億円)の制裁金を科すと欧州委員会が決定した。
日系企業は、ビスキャス(古河電気工業・フジクラ)、ジェイ・パワーシステムズ(住友電気工業・日立金属)エクシム(昭和電線ホールディングス・三菱電線工業)の3社。
ビスキャスは欧州裁判所への上告も検討中。他2社はそれぞれプレスリリースを発表して今回の制裁を受け入れる模様。
以下、欧州委のプレスリリースを抜粋してご紹介。
こうした電気ケーブルは、主に発電所と変電所をつなぐために使われる。欧州委によると1999年から10年近く、禍中の企業はマーケットを分配し仕事を融通しあっていたという。欧州委の副委員長で競争担当委員のホアキン・アルムニアは以下の発言をした。
「これら企業は自らが不正行為を行っていると十分に理解していた。彼らが慎重に重大な秘密を扱うよう行動していたことが何よりの証拠である。不当競争防止の関係機関が世界的に協力することで、彼らがお互いに競争しないよう合意を形成していたことを突き止め、それに終止符を打つことに成功した」
欧州企業6社、日本3社、韓国2社のケーブル会社がカルテルの違反として対象になった。独占禁止法に触れる形でスタートさせて、後からジョイントヴェンチャーとして衣替えした企業数社、さらには意思決定に影響力を持っていた親会社の責任も追求されている。最大の制裁金(1億ユーロ)を科されたPrysmian社は、前オーナーである投資会社ゴールドマン・サックスも対象とされる。
2009年1月に実施された欧州委の調査によると、欧州とアジアのメーカーはそれぞれのテリトリーを浸食しない、それ以外の地域ではマーケットを分割するという秘密の合意を形成していた。最初の段階では、各メーカーは「R」「A」「K」という秘密コードを使って、それぞれヨーロッパ(Europe)、日本(Japan)、韓国(Korea)の会社として表していた。
例えば日本と韓国のメーカーがヨーロッパの顧客から入札の要請を受けると、カルテル企業同士で情報を共有して、ヨーロッパの市場では入札をしない、もしくは高い値段をつけて価格競争からわざと脱落するなどの行為を行っていたという。
「パイ自体が大きくなって各社が享受するメリットが増すのでなければ、カルテルを形成するリスクは大きく、大変なことになるだろう」というミーティングのノートが残されている。
情報ソース:欧州委員会プレスリリース