2009年の金融危機を教訓として、欧州議会は困難な情況に陥った銀行をどう取り扱うのか、一つの解決方法を生み出した。
金融不安から発生して、実体経済に深刻なダメージを与えるというパターンは我々の記憶にも新しく、今もって影響を感じている業界も多い。預金者の不安は高まり、銀行の職員がそれでも高給を得ていることに欧州市民の怒りが向けられた。
(写真:域内市場・サービス担当ミシェル・バルニエ氏の記者会見 3月20日)
そこで、欧州中央銀行(ECB)が2013年の10月にユーロ圏の主要銀行128行の監督業務を一元したのに引き続き、2014年4月15日、欧州議会で破綻した銀行の処理を一元化する法案が可決された。資金繰りが厳しくなった銀行には、不測の事態に備えて資金を確保するようになど、監督命令が言い渡される。
困難な状態にあると見なされた銀行は、統一破綻処理委員会(Single Resolution Board)という欧州共通の枠組みのなかで処理が決定される。
550億ユーロ(約7兆7千億円)が、このメカニズムの運営資本金として供出され、すみやかに判断を下せるように活用される。2016年1月1日から正式に発足する。
また、銀行の預金者、債権者が第一に保護されるという原則も確認されており、一般の預金者はようやく銀行に対する不安を払拭できそうだ。
(写真:左からシュルツ議長、バローゾ欧州委員長、ディルーポ首相)
2013年の末に、欧州議会のマルティン・シュルツ議長は、「システムの動きが遅くて非効率的だと、それだけ大きな損害を誰もがこうむることになる」と述べている。
「取り付け騒ぎを防ぐため銀行を1週間以内に立ち直らせることができなければ、このシステムは複雑すぎる。欧州委員会がここでは中心的な役割を果たすべきだ。不透明な組織と不透明な利害は排除しなければならない。そうでなければ、最終的に《手術は成功したが、患者は死亡》のような事態になってしまう」
http://www.elections2014.eu/en/top-stories/content/20140411TST43414/html/Banking-Union
エリザ・フェッレイラ(ポルトガル出身/社会民主進歩同盟/欧州議会議員)による一元化法案の説明と可決の様子。