ここ数日、コロナ・ウイルスのニュースが流れない日はないし、2人以上集まれば、この話題が話されないことはない。
しかし、2020年3月6日本日現在、ベルギーでは日本ほど危機感が高まっていないように思われる。なぜなのだろうか?
3月2日(月曜)
月曜日の朝、頰を軽く合わせるビズ(キス)の挨拶をしてくれるフランス語圏のビジネスパートナー・ミランダがきた。
コロナ・ウイルスなぞどこ吹く風、彼女のいつものペースで、フロアのみんなにビズをして回っていた。気がつくと、私のところにもきて、「おはよう、ミチル!」チュ!ってな感じである。
え、今ってそういうことしていいんだっけ? 考える暇もなく、いつもの習慣はその通り踏襲されていた。されてしまったものは仕方がない。
アジア人の私がコロナを持っていないとも、このご時世言い切れないと思ったりするのだが、彼女は気にしないのだろうか? こんなにおおっぴらに接触系の挨拶をしてくるということは、きっと彼女はコロナ・ネガティブなのだろうと自分を納得させてみたりする。
しかし次の瞬間、オランダ語系のソフィアが、はっきりとミランダに向かって、「やめて。私には触らないで」と言ったのである。
おっとー。さすがソフィアだ。あまり普段から他人とのコミュニケーションを必要以上にとりたがらない女性なのである。
そのあとのミランダは、やはりソフィアの一言で少しくじけてしまったのか、今日はボンジュール、というだけにしておくわ。私はまったく問題ないんですけど、そちらはどうかわかりませんからね、みたいな変な感じになって、いつのまにか、私たちのフロアーから消えてしまった。
3月3日(火曜)
50名くらい人々が集まるランチ・イベントがあり、それ自体がキャンセルにもならなかったので参加したところ、受付でアルコール消毒液と、コロナ発症者多数発生地域に最近足を踏み入れていないという宣誓書を用意して待っていた。
この書類に署名し、コロナ・ウイルスが付いているかもしれない手を消毒しないと、入れないという仕組みである。
ただ、このあとのベルギー人参加者たちの反応が面白い。
「あー、ごめんね、ごめんね、なんだか、こんなことしちゃっていいのかなあ、こんなときに、わからないけど、気にしない? どう大丈夫?」とごちゃごちゃ言い訳を並べつつ、みんな消毒した手を出して、握手し合っているのである。
どうも、彼らは握手し合わないと、なんだか格好がつかないようなのである。結局、この会合で、コロナ・ウイルスを言い訳に、握手しなかった欧州人には一人も会わなかった。つまり、言い換えれば、私は好む好まざるに関わらず、みんなの手を、結局握ってしまったのである。
3月4日(水曜)
「私は電車通勤途中にコロナ・ウイルスに感染するのが嫌だから通勤できない」という人が、オランダの事務所にいるという話を聞いた。
ベルギーで働く私の同僚は「そんな大げさな! ただのインフルエンザに毛が生えたようなものだろう? どうしてみんなこんなに大袈裟なんだ!」という態度。これが私のまわりにいる、大半の人々の態度なのである。
私自身は臆病者なので、おっかなびっくり、全員自宅勤務という命令が出てくれないかな? なんて思っているのに、いつもと同じように通勤道路は渋滞しているし、どうやら、ベルギーは政府がなくても、コロナが流行っても、通常通りすべての物事は進んでいくようである。
3月5日(木曜)
ある質問があり、早朝、専門家の同僚の席に行くと、たまたま彼のデスクのまわりは、みんなオフィスにいて、珍しく8人くらい全員席に座って仕事をしている。私が近づくと、私の悪口でも言っていたかのように、急にみんな下を向いて、突然咳をしはじめた。
なんだか嫌な感じだなと思ったので、「ちょっと、私がアジア人だから、コロナ・ウイルスを持っていると思って、そんな風に避けようとしているの? なんだか意地悪ね」というと、みんなが堰を切ったように笑い出した。
「違うよ、君じゃないよ、ねえ、知ってる? カールがイタリアからスキー旅行に行って帰ってきて、会社に出てきちゃいけないっていうメールを見てなくて、さっき、オフィスに彼がきていたんだ。すぐに帰らされたけどね。でも、俺たちみんな偶然、彼に会っちゃってさあ、それでこそこそ話をしていたんだ。ほら、みんなかかっちゃったかも、って嘘の咳して。(笑)だから、君のことじゃないよ、安心して、、、っていうより、こっちに近づかないほうがいいかもね」
誰からも、イタリア帰りのカールと接触したことを気にしている様子は見受けられなかった。あっけらかんとしたベルギー人同僚たち。
3月6日(金曜)
会社によっては、コロナ・ウイルス対策として、なんらかの方針を出しているところと、まだ特に何もしていない会社があるようだが、厳しい会社は、しばらくすべての外部との接触を禁止、というところもあるらしい。
あまり神経質になる必要もないと思うが、自分の身は自分で守らなければいけないので、最低限やるべきことはやっておく、というのは大切かもしれない。
下記、一般的なコロナ・ウイルス対策のガイダンスである。
すでに様々な情報が出回っているので、今更感もあるが、具体的にどうしたらいいの?と思っている青い鳥の読者の皆様のご参考まで。
コロナ・ウイルス対策:
・20秒以上、石鹸を使って手洗いをする
・もし石鹸がなければ、アルコール消毒液を利用する
・くしゃみや咳をする際は、必ず鼻と口を覆い、そのあと手洗いをする
・人混みの多いところは避ける
・呼吸系の病気を持っている人との接触を避ける
・風邪などの症状や、体調が悪い時は、外出を避け、家にいる
・感染者が触れた場所や物があれば、定期的に清掃を行う
WHO Coronavirus disease (COVID-19) outbreak(英)
https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019
Centers for Disease Control and Prevention(英)
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/
世界の患者数 Johns Hopkins CSSE(英)
https://www.arcgis.com/apps/opsdashboard/index.html#/bda7594740fd40299423467b48e9ecf6
ベルギー政府 コロナ情報サイト(仏)
https://www.info-coronavirus.be/fr/
日本国外務省サイト(日)
日本からの渡航者・日本人に対する各国・地域の入国制限措置及び入国・入域後の行動制限
https://www.anzen.mofa.go.jp/covid19/pdfhistory_world.html
6.mar.2020