ブルスの地下に白雪姫の遺体が?

ブルスの地下に白雪姫の遺体が?

グリム童話やディズニー映画などでおなじみの『白雪姫』。その主人公のモデルとして有力視されている伯爵令嬢の遺体が、ブリュッセルの旧証券取引所、ブルスの地下に埋葬されている可能性が高まっている。

白雪姫のモデル、 マルガレータの人生

今回の主役はマルガレータ・フォン・ヴァルデック(1533-1554)。現在のドイツ中部、ヘッセン大公国に領地を所有していた父のヴァルデック伯爵は、銅山をいくつか経営する貴族だった。幼くして母を亡くしたマルガレータの人生は白雪姫と重なるところが多く、子供時代をヴァルデック付近で過ごしたグリム兄弟は、彼女から大いにインスピレーションを受けたようだ。

実際、マルガレータは絶世の美女として知られたうえ、彼女の一族は、当時まだ一般的だった魔女狩りに何度も巻きこまれたという。美貌に恵まれたために継母から追放される経緯も白雪姫の姿と重ね合わせられる。

ちなみに、ヴァルデック伯爵の銅山で働いていた子供たちの多くは、過酷な労働条件から背が低く、彼らが『白雪姫』に登場する七人の小人のモデルとなっているかもしれない。 銅山があった村は、「白雪姫の村」と呼ばれ、徐々に知名度を上げつつあるようだ。

マルガレータ、ブリュッセルへ

1549年、マルガレータはブリュッセル宮殿にやって来る。カール5世の妹でネーデルラント総督だったマリア・フォン・エスターライヒのもとに送られたのだ。宗教戦争が過熱する時代において、プロテスタントのヴァルデック伯爵とカトリックのカール5世の間に生じた緊張を和らげる和解策だった。

その後、マルガレータはカール5世の息子のフィリップ2世と恋愛関係に。しかし、宗派の違いは、周囲の人間すべてを納得させることはできなかったようだ。マルガレータは21歳の若さで毒殺されてしまう。毒リンゴではなく、ヒ素によって!

死後、マルガレータはブリュッセル中心部の修道院の納骨堂に埋葬された。この修道院の遺跡こそ現在「ブリュッセラ1238」として知られるブリュッセル市考古学博物館であり、ブルスの真下にある廃墟の跡だ。すでに数多くの女性の遺骸が発見されているが、マルガレータの骨を見つけ出すのは至難の業だ。

 

Bourse de Bruxelles ブリュッセル旧証券取引所

「ブルス」の呼称で親しまれているブリュッセル旧証券取引所は、レオン=ピエール・スイスの設計により、1868年から1873年の間に建設された。  新古典主義の様式の壮麗な建造物は、19世紀に建てられたものの中で最も多くの装飾が施されているとも言われ、「宮殿(Palais)」の異名も持つ。

証券所がサン・ミシェル大聖堂付近に移動してからは、展覧会やコンサートの会場へと機能を変えた。さらに2023年9月からはビール博物館(musée de la bière)として観光スポットに生まれ変わった。

ブリュッセル中心部の元証券取引所「ブルス」は内部の大規模改修が終わり、周囲の舗道を整備している。

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