ウィンター・ガーデン 作り人知らずのアール・ヌーヴォー建築の珠玉  Wintertuin

ウィンター・ガーデン  作り人知らずのアール・ヌーヴォー建築の珠玉  Wintertuin

メヘレン郊外のOnze-Lieve-Vrouw-Waverに聖ウルスラ修道院寄宿学校があります。創立は1841年。レベルの高い教育を受けられると評判で、国内外から裕福な貴族の子女が集まってきました。

豊富な寄付金で建てられた寄宿学校は、当時最先端だったアール・ヌーヴォー様式を取り入れた贅沢なものになりました。

ちなみに聖ウルスラは1万1千人の乙女と共にローマへ巡礼の旅に出たという伝説の聖女で、女学生の守護聖人とされています。ブリュージュのメムリンク美術館にある、聖ウルスラの聖遺物箱の絵を元にした絵画作品もこちらの壁に飾られています。

 

一番の見所は「ウィンター・ガーデン」と呼ばれる部屋です。ステンドグラスの天井はアール・ヌーヴォー様式で、様々な動植物がデザインされています。両端の半円部分の南は朝を、北は夜を表しています。



学校の建物はネオクラシック様式で、また違った趣があります。


学校では音楽も授業に組み込まれていました。たくさんの生徒が同時に練習できるよう、ピアノがある個室が両脇に並んでいるピアノ・ギャラリーがあります。

寄宿している貴族の娘さんや修道女たちが外部の人と面談するための部屋は、アルペンルームと呼ばれていました。保養地として人気だったスイス風の絵が描かれています。

食堂の壁の絵にはサクランボ、ニンジン、インゲン、メヘレン名物のアスパラガスなど食材が描かれ、ハーブで囲まれています。

食堂や試験会場としても使われた部屋には、ナプキンや銀のカトラリーを収納できるように、個々のテーブルの下部に引き出しが付いています。

その壁には、ラ・フォンテーヌの寓話の絵が飾られています。誰でも知っている『狐と鶴のご馳走』。日本では鶴ですが、ヨーロッパではコウノトリということにご注目です。

一番多いドアや窓のステンドグラスの模様はクンシラン(君子蘭)です。床のタイルと壁のタイルの絵柄を揃えたりと、細部にまでこだわりが感じられます。

どこもかしこも機能的でありながら、花や草のモチーフをふんだんに使って、居心地のよい空間を作り出しています。

ウィンター・ガーデンは2022年11月1日から2023年9月まで修復工事で見学できなくなりますので、見に行くなら今!

(文・織姫)



●場所: vzw Wintertuin OLV-Waver

ウィンター・ガーデン/ウルスラ・インスティテュート

●住所: Bosstraat 9, 2861 Onze-Lieve-Vrouw-Waver

●開場: ガイドツアー:日曜14:30~16:30

●料金: 12ユーロ、12歳以下は無料

●URL: www.visitwintertuin.be (蘭仏独英西、一部蘭語のみ)

photos) Visit Flanders

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