収穫を祝う「ブドウの町」オーヴァレイセの祭り Druivenfeesten in Overijse

収穫を祝う「ブドウの町」オーヴァレイセの祭り Druivenfeesten in Overijse

ブリュッセルから高速道路E411を南下し、 ソワーニュの森を抜けるとそこはもうオーヴァレイセ。出口E3で降りて市街へ向かうと、道沿いにブドウの温室と販売スタンドが建ち並びます。

オーヴァレイセは「ブドウの町」なのです。街のエンブレムもブドウの葉をイメージしたデザイン。

ここで一房一房、丹精込めて栽培された大粒のブドウは、昔は薬として扱われ、一粒ずつ取引されたほど、希少で高価なものでした。

昨今は南欧から安価なブドウが簡単に手に入るようになり、当地のブドウ栽培は衰退の一途を辿っていますが、街のところどころに残るブドウ農家の豪奢な邸宅が、かつての名残を留めています。

8月は温室ブドウの出荷の最盛期。毎年この季節にブドウ祭りが開かれ、期間中は移動遊園地が立ち、野外コンサートやブドウの品評会など、様々なイベントが催されます。

目玉は主に地元の人々が出店する蚤の市と、パレード。フランダース名物の旗振りや、中世の衣装に身を包んだブラスバンドが参加します。ブドウ祭りと大粒のブドウを堪能してはいかがでしょう。

ところで、ブドウを覆っている白い粉は、埃ではありません。ブドウの脂質が表面に出てきた果粉というもので、表面からの水分の蒸発を防いでいます。きれいに粉を吹いているのは、新鮮でみずみずしく甘い証拠。洗わずに食べるのがベルギー流。

こぼれ話

1531年のこと、旅の途中にカール5世が乗った馬車が沼地にはまって動けなくなってしまいます。そこでオーヴァレイセのトンベーク地区の男性たちが力を合わせて、馬車を沼地から引き上げました。

とても喜んだカール5世は「未来永劫、毎年トンベークの民に恩賞を与えよう」と宣言しました。ほぼ500年経つ今でも、 公現祭の後の最初の日曜日にトンベークの世帯主は「恩賞」(現在は4ユーロ)を受け取っています。   

(文・織姫)

photo: Tafeldruiven in serre Soniën in Overijse ©Koen Liekens