Vondelmolen

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青い鳥12月号

忙しい時間が流れる師走のひととき。言葉も顔つきも、文化も風習も異なるベルギーという地で、ほっと一息つける瞬間は、故郷の料理を家族や友人と共にするときではないでしょうか。

日本人なら年越し蕎麦をすすったり、年明け前にお節料理をつまみ食いしたり、懐かしい食の風物詩には、魂を癒やされる想いがいたします。

それではベルギー人にとって何がソウル・フードなのかというと牛肉やウサギのビール煮込みや、エビや貝など魚介料理に地域性があって、これまた奥深い世界が広がっています。

もちろん、そうした豪華な響宴もいいのですが、もっと素朴で、なおかつ昔から大切に守られてきた郷土の食文化に目を向けると、今年最後の特集記事として取り上げるフランダースのソフト・ジンジャーブレッドがあります。このお菓子はベルギーのオランダ語でぺーペルクーク(蘭:peperkoek)、フランス語ではパン・デピス(仏:pain d'épices)と呼ばれています。

今のように世界中の食材が簡単に手に入らない時代に、香辛料、はちみつ、砂糖が入った甘く香り高いお菓子は、子供たちにとって一番のご褒美だったはずです。我々日本人にも馴染み深いあの悲劇の主人公も、ソフト・ジンジャーブレッドを楽しんだかもしれません。どの物語かは本編をお楽しみに・・・。

私は父の故郷が長崎佐世保のほうで、子どもの頃はポルトガル由来のカステラを帰省のたびに食べた想い出があります。郷土と家族の思い出の味は、いつまでも忘れられないものです。  読者の皆様にとって、子どもの頃から親しんだ地域のお菓子、自身にとって食の原点とも言うべきものは、何でしょうか?

今年も一年、ご愛読をいただきましてありがとうございました。心身ともに健康で、よいお年をお迎えくださいますように。

ベルギー青い鳥 編集長 山本浩幸

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