BRAFA 2020 ベルギー最大のアートフェアで芳醇な欧州文化の真髄に触れる

BRAFA 2020 ベルギー最大のアートフェアで芳醇な欧州文化の真髄に触れる

【終了イベント】

BRAFA(ブラファ)というブリュッセルで開催されるアートフェアをご紹介します。Brussels Art fairの略で、古典芸術から現代アートまで、欧州を中心に世界中の美術品が展示され、かつ販売されるイベントです。

2020年は65回目となり、約16ヶ国から133のギャラリーが参加し、会場のTour&Taxisが高額なアート作品で埋め尽くされます。

VIP招待客とプレス関係者のみ参加可能なプレ展示期間が終わると、アート愛好家の一般客にも開放されます。その規模と質の高さから、「欧州における年明け最初の大規模アートフェア」としての地位を確固としています。

展示作品は、ベルギーや欧州の絵画、彫刻を中心としつつも、時代と国はかなりの広がりがあります。ギリシア・ローマの考古学的価値を持つ遺産もあれば、日本や中国のコンテンポラリー作品もあり、さらにジュエリー宝石、銀器、家具、浮世絵なども展示されます。

会期中は、研究者や美術館の学芸員によるトーク・セッションが開かれたり、見所をガイドツアーしてくれるサービスなどもあり、美術ファンには嬉しいイベント運営がなされています。

2020年のBRAFAでは、なんとベルリンの壁が会場入口に飾られています。グラフィティの描かれた5つの壁は、運営委員会が企画したチャリティー・オークションの商品なのです。この売上は、ガン治療、障害者支援、芸術歴史博物館など、5つの団体へ寄付として贈られます。

委員長のハロルドさん(Harold t'Kint de Roodenbeke)がカナダを旅行中、小さな漁村でベルリンの壁を偶然見かけ、その歴史的意義に感銘を受けた瞬間、「そうだ、BRAFAのチャリティーにベルリンの壁を使おう」とアイデアがひらめいたとのこと。旅から帰るとベルリンに飛び、残されていた5枚を手に入れ、今回の企画が実現しました。

余談ですが、t'Kint de Roodenbekeという家名を聞いて、ピンとくる方は相当のベルギー通です。ベルギーの貴族のなかでも古い名門で、19世紀後半に活躍した外交官Auguste t'Kint de Roodenbekeも一族の祖先。1866年に、日本とベルギーが初めて外交樹立をしたとき、横浜で調印した国の代表でした。

BRAFA【終了イベント】
会期:2020年1月26日(日)〜2月2日(日)
時間:11〜19時(1月30日は22時まで延長)
場所:Tour & Taxis
住所:Avenue du Port 88, 1000 Brussels
入場:25ユーロ(26歳以下は割引あり)
駐車:7ユーロ

 

青い鳥が注目したおもにベルギー関係のギャラリーをご紹介。

北海の奇才ジェームズ・アンソール

今回、大注目は画家ジェームズ・アンソールの作品。ジェームズ・アンソールは、北海に面した街オステンドの出身画家で、舞台芸術を愛し、作品にもそのモチーフを使っている。アンソール自身が作曲し、舞台装置や衣装までデザインしたバレエ作品があり、楽譜や衣装のデッサンなどが展示されている。

画家:ジェームズ・アンソール
題名:Ballerines muées en marguerites
制作:1936年
Photo : Vincent Everarts
ギャラリー:Samuel Vanhoegaerden Gallery
https://www.svhgallery.be/

オーナーのサミュエルさんにお話をお伺いした。楽譜<La Gamme d'Amour>や写真などの資料類は販売しないが、衣装デッサンは全点セットで販売可能とのこと。

バレエ作品<La Gamme d'Amour>は、これまで数回上演された記録があるが、動画などの映像は残っていない。現在、研究も進んでいるので、いつかアンソール作のバレエを見ることができるかもしれない。

ジュエリー

エポックはベルギー西部のコルトレイクにあるアンティーク・ジュエリー専門店。アールヌーヴォー、アールデコの作品を中心に、ベルギーとフランスの名作を展示している。
http://www.epoquefinejewels.com/

ルネ・ラリックによるアールヌーヴォーの腕輪
出展:Epoque Fine Jewels
http://www.epoquefinejewels.com/

 

バンデシネ(漫画)

作家:エルジェ
題名:《太陽の神殿》(タンタンの冒険より)
制作:1970年
ギャラリー:Huberty & Breyne Gallery
https://www.hubertybreyne.com/

他にも漫画・アニメ作品があります。

タペストリー

ドゥ・ウィット(De Wit)は、メヘレンにあるタペストリー・アトリエ。修復と販売を手がけており、伝統的な技術を現代に保存している。

題名:Le Triomphe du Temps(時の勝利)
制作:ネーデルラント南部(トゥルネーか)1520年頃
原画:Petrarcaによる
素材:羊毛
サイズ:336 x 244 cm
https://www.dewit.be

フランダース近代絵画・彫刻(表現主義・印象派)

ゲントからほど近いシント・マルテンス・ラーテムは、芸術村として知られ、フランダースの近代絵画では非常に重要な場所である。彫刻家ジョルジュ・ミンヌもその芸術サークルの一員で、哀愁に満ちた繊細な表現を得意としている。

題名:Moeder in extase
作家:George Minne
制作:1923年
ギャラリー:Galerie Oscar de Vos
https://www.oscardevos.be/

ベルギー作家を専門に扱うギャラリー。ゲントを拠点にフランダース近代絵画の名作を紹介。

ギャラリー:Francis Maere Fine Arts
https://francismaerefinearts.be/

家具・調度品

パリから参加。絢爛豪華なアンティーク家具や彫像など、圧巻の世界観を作り上げて、イベントを盛り上げてくれる。
ギャラリー:STEINITZ
http://steinitz.fr/

 肖像画

女性の肖像
画家:Frans Pourbus
ギャラリー:Klaas Muller
https://www.klaasmuller.com/

日系の画廊

パリから参加の日系画廊。今回は半分がベルナール・ビュフェ作品。トレードマークの黒く強い輪郭で描かれた大作《赤い鳥》と、菅原健彦氏の大作《臥龍の松》が正面の壁を飾る。

画家:菅原健彦
作品名:《臥龍の松》
ギャルリーためなが
https://www.tamenaga.com/

 

ベルリンの壁(チャリティー・オークション)
photo : Raf Michiels
photo : Fabrice Debatty

 

BRAFA
会期:2020年1月26日(日)〜2月2日(日)
時間:11〜19時(1月30日は22時まで延長)
場所:Tour & Taxis
住所:Avenue du Port 88, 1000 Brussels
入場:25ユーロ(26歳以下は割引あり)
駐車:7ユーロ

会場内には、食事のできるスペースもあり、休憩のためのラウンジやベンチも用意されているので、快適に過ごすことができます。

ちなみに、会場の花は、ソフィー・コッポラ監督の映画「マリー・アントワネット」で花を担当したThierry Boutemy氏によるもの。

じっくり絵画を見て、画廊の人との出会いを楽しみ、素敵な芸術作品を手に入れるチャンスです。芸術の街ブリュッセルの顔は、一度はぜひ見ておきたいものです。