ファンエイク・視覚革命展 中世ゲントに生まれた超リアルな絵画の衝撃

ファンエイク・視覚革命展 中世ゲントに生まれた超リアルな絵画の衝撃

【会期途中でコロナのため閉鎖】

ゲントの傑作絵画《神秘の子羊》を描いたファンエイク兄弟の展覧会が、ゲント美術館にて開催されます。

修復を終えた同作品の一部と、世界に散らばったファンエイク作品、さらに同時代の作家を集めて鑑賞できる展示です。

 

フランダースで生まれた中世の視覚革命

1432年の多翼祭壇画《神秘の仔羊》は、兄のフーベルトが制作を開始し、その死後、弟のヤンによって完成されました。

ファンエイク以前の宗教絵画といえば、イコンに代表されるような素朴な表現でした。15世紀初頭イタリアでは、マサッチオなど先駆的な画家により、ようやく絵画における立体3次元表現が生まれはじめたところです。技術的にも、イタリアでは卵を使ったテンペラ技法や、壁に塗られた乾く前の漆喰に絵を描くフレスコ技法が主流でした。

そこにファンエイク兄弟は、油彩技法により、まるで現代の写真のようなリアルな描写という視覚の革命を起こしたのです。

2次元のフラットなパネルに、3次元の世界を表現したこと、さらに細かい観察と描写によって、鑑賞者に現実世界をそのまま見ているような驚きを与えました。リアルな細部表現は、中世では画期的な事件でした。

顔料と油を混ぜることで、半透明な色の層を塗り重ねることができるファンエイク兄弟が発展させた油彩技法が、その後の西洋絵画の方向性を決定づけたのです。ボッティチェッリやレオナルド・ダヴィンチなど、ルネサンスの巨匠も、ファンエイクの革命なしでは生まれなかったかもしれません。

↑↑↑ 残念ながらゲントには来ませんが、、、レオナルドの《受胎告知》(1475年 - 1485年)と並べてみても、面白いですね。

 

中世にタイムスリップする展覧会

今回の企画展では、大規模な修復を終えた《神秘の子羊》の閉翼時のパネル8枚を中心に、世界で約20点ほどしかないファンエイク作品の半数、さらに同時代のヨーロッパで制作された作品が一堂に会します。

15世紀にどのような芸術の表現があり、その中でファンエイク兄弟がいかに革新的だったのか、中世の環境に身を置いてみると感じられることもあるでしょう。

さあ、時計を逆に回して時間旅行に出かけましょう。

 

展覧会 Van Eyck. An Optical Revolution
会期:2020年2月1日〜4月30日

時間:9時30分〜19時(火、水、木、日)〜23時(月、金、土)
場所:Museum voor Schone Kunsten Gent
住所:Fernand Scribedreef 1 9000 Gent
料金:28ユーロ(予約25ユーロ)

特設サイトVan Eyck. An Optical Revolution(英語)
https://vaneyck2020.be/en/


チケット予約(英語)
https://vaneyck2020.be/en/398-2/