ブリュッセルでは現在、写真家カトリーヌ・ロングリーによる写真展が開催されている。
舞台は青島、瀬戸内海に浮かぶ、現在人口3人の小さな島だ。2013年、有名な動物写真家・岩合光昭氏のドキュメンタリーによって「猫の島」として脚光を浴び、観光客が押し寄せるようになった。
猫はもともと、網をかじるネズミ対策として漁師に連れてこられた。観光客が餌を与えることで数が増え一時はなんと220匹にも達した。
しかし、カトリーヌさんが島を初めて訪れた2023年には猫たちは数十匹ほどに減っていた。近親交配による奇形など健康問題が深刻になり、2018年にすべての猫が去勢・避妊手術を受けたからだ。それでも島民は、老いた猫たちに毎日餌をやり、愛情をもって世話を続けている。
地下の展示では青島の歴史にも触れることができる。この島は赤穂浪士に由来する祭りの伝統があり、過去にはいわし漁とひじきの収穫で栄えた。昔の資料写真や地図は、見る人の郷愁を誘う。



この展示の見どころは猫の白黒写真だ。傷つき、年老いた猫たちだが、その姿を尊厳をもって表現したいとカトリーヌさんは願い、幻想的で幽霊のようにも見える作品を制作した。写真は薄い阿波紙に印刷され、木枠は廃校になった学校建物の廃材から作られている。
人、動物、歴史、社会といった複合的なテーマで織りなされる展示を見ていると、なぜか他人事とは思えない。青島は日本の縮図であり、私たちが心の奥底に抱く「故郷」の一つのかたちなのかもしれない。

Katherine Longly
カトリーヌ・ロングリーは写真や人類学を出発点に社会的ドキュメンタリー作品を発表するアーティスト。日本は10年間毎年2ヵ月の長期滞在をするほど強い関心を持つ。実際に人と接することでしか得られない経験を写真に投影させる表現が特徴。
URL : www.katherine-longly.net
■ギャラリーINFO
L'ENFANT SAUVAGE
Rue de l'Enseignement 23
1000 Bruxelles
展示:CAT ISLAND BLUES
会期:1月16日〜3月15日
開館 : 木〜日曜 14:30-19:00
URL : www.enfantsauvagebxl.com

