ニコラさん Nicolas

ニコラさん Nicolas

ご出身は?

私の両親は生まれも育ちもベルギーのベルギー人です。他の家族親戚もほぼ同じです。

 

お仕事は?

私は現在、アニメーター職のトレーニングを提供するCFAという協会で働いています。プロのファシリテーターや、プロを目指す人を対象に、数日、あるいは一週間、さらには一年に及ぶトレーニングコースを開催しています。また映像技術や演劇、演技なども指導しています。 

【註】

アニメーター職:社会教育指導員、青少年指導員、地域活動コーディネーター、レクリエーション指導員など。

ファシリテーター:進行促進役。会議やワークショップ、プロジェクトなどの場において、参加者が効果的に意見を出し合い課題解決を行えるよう、中立的な立場で支援する専門職。

 

私たちは、トレーニングの段階で創造性に力を入れていて、演劇やビデオだけでなく、ゲームなども取り入れています。紙芝居を使った講座も開催しています。私自身はメディア教育分野で働いています。この分野では、ソーシャルネットワークやビデオゲーム、テキストや画像生成AIなど、さまざまなメディアについての理解を深めるファシリテーターの育成を行っています。

 

 

一方、私は映画館「シネマ・ノヴァ」で上映する映画を選考するプログラマーとして、約15年間この映画館で働いています。

この映画館では、日本人専門家とも何度か協力して、日本の映画を上映してきました。最近の映画も古い映画もありますが、ドキュメンタリーが多いです。

この仕事のためにたくさん映画を見なければなりません。プログラミンチームとして映画を選ぶにはいくつかの方法がありますが、私の場合、まず主題を選択してから、監督やテーマ、映画の制作方法など、その主題に関連する映画をできるだけ多く見つけるようにしています。

 

ご趣味は?

この15年写真を撮って楽しんいます。主に白黒フィルム写真ですが、最近になって立体写真(3Dの一種)が撮れるカメラを見つけ、とても気に入っています。「View Master」という素晴らしい機器です。

これは人間の目と同じ間隔で2枚の写真を同時に撮影するカメラで、それぞれ左目用と右目用に分けて円形のカードに配置し、専用の双眼鏡のような装置にセットすると、脳が左右の画像を統合して立体的に(3Dで)見えるという仕組みです。

 

双眼鏡のような装置

円形のカード

カメラ

 今のところシャルルロワで撮った白黒写真などがありますが、これからどんな写真を撮るかはまだはっきり決めていません。

問題なのは、この仕組みが1960年代の技術であり、必要な機材がすでに製造されていないことです。そのため、自分で空のディスク(カード)を再現し、小さな写真をはめ込めるようにしなければなりません。

仕事と日本語学習以外の時間にゆっくり取り組んでいます。

 

典型的な一日は?

私は1週間おきに10歳の娘と一緒に過ごすので、2つの異なる「典型的な日」があります。

子供がいるときは一緒に午前7時に起きて、自分たちの昼食と子供の学校用の昼食を準備します。午前8時に学校に行き、その後仕事へ向かいます。午後5時少し前にを迎えに行きます。

子供と一緒でない時は起きるのが少し遅くなり、仕事にも長く留まります。

 

ベルギーで好きな場所は?

ブリュッセルで私のお気に入りの場所は、やはり私が約15年間活動してきた映画館「シネマ・ノヴァCinema Nova」です。ここは独特の雰囲気があり、ブリュッセルの文化生活の一部となっています。バーとむき出しのレンガの壁、そこで見られる映画、味わえるビール、出会う人々。

それだけでなく組織も興味深いです。Novaはボランティア団体によって運営される施設であり、階層構造はありません。私はこの場所に参加できたことをとても誇りに思っており、この場所を生かしている人々に心から感謝しています。ここで時間を過ごすのがとても楽しく、皆さんにもぜひ訪れてほしいと思っています。

シネマ・ノヴァはボランティアのチームによって運営されているため、毎日開いているわけではありません。祝祭日以外の、木曜から日曜まで営業しています。一つのプログラムが 6~9週間続き、その後一週間の休憩をとります。また夏休みは閉館になりますが、野外上映フェスティバルを開催することもあります。これらのセッションはPleinOPENAir と呼ばれ、今年も開催します。

 

さて、上映する映画についてお話しします。

まず世界には膨大な数の映画作品が存在します。たとえ1日中、1年365日映画を見続けたとしても、世界中で1年間に制作されるすべての映画を観ることは不可能です。私たちはその中から、謙虚ながらも、ブリュッセルでは上映されていないような作品をいくつか紹介しています。

私たちの上映プログラムは、しばしば「サイクル(特集)」という形で編成されています。たとえば、2025年4月から6月にかけては「死の表象、儀式、喪、そして死者を称えること」をテーマにしたプログラムを組んでいます(詳細はこちら)。

また、私たちが特に注目する映画監督に焦点を当てた特集を組むこともありますし、特定の映像形式にフォーカスした企画を行うこともあります。たとえば2022年には、インターネット上で拾い集めた映像素材から制作された作品を集めた特集を実施しました(詳細はこちら)。

上映作品は世界各地から集めており、日本映画を取り上げることもあります。2024年には、私たちが共同主催しているOffscreenフェスティバルにて、長谷川和彦監督の特集を企画しました。彼の1979年の傑作『太陽を盗んだ男』は、主演に沢田研二と菅原文太を迎えた圧巻の作品です(詳細はこちら)。

Cinéma Novaについて語りたいことは尽きません。映画の上映だけでなく、トークイベント、コンサート、ライブ・サウンドトラック上演、舞台パフォーマンスなど、さまざまな企画を開催しています。Novaは、プログラムやイベントのあり方において、今では非常に珍しい「自由な空間」であり続けています。

 

日本語を勉強する理由は?

私はずっと以前から日本文化に関心を持ってきました。おそらく、自分自身の成長のなかで、西洋的な価値観とは異なる哲学的な根を求めていたのだと思います。そんな中で、日本という国に出会いました。日本は、西洋諸国に匹敵する発展を遂げながらも、根本的に異なる文化や価値観を持っているように感じられ、とても魅力的だったのです。

今では当時とは少し異なる視点で日本を見ていますが、それでもこの国やその文化について、もっと深く知りたいという気持ちは変わりません。特に、工業化された現代社会のなかに、アニミズム的な精神性――神道など――が今なお生きていることに強く惹かれます。

日本にいるとき、私は神社という「不思議な泡」のような空間に身を置くことに大きな喜びを感じます。精霊や自然の力とのつながりにはインスピレーションを覚えますし、それは環境破壊が深刻化している現代において、とても意義深い精神的基盤であると感じています。(とはいえ、私が日本で見聞きした現実が、必ずしもアニミズム的な「生きとし生けるもの」への敬意と一致しているとは限らないとも思っています)

私にとって神社は、人間や人間の営みが自然の場に奉仕する、そしてその場を守り、祝福するための空間のように思えます。なかでも、伊勢神宮についてはよく人に話します。そこに表れている「時間」や「命の循環」そして「死」への考え方は、西洋的な直線的な時間感覚とはまったく異なり、とても興味深いものです。(私は西洋的な時間観を、時に息苦しく、非合理的にさえ感じています)

ちなみに、日本語の勉強をはじめたのは、少し気持ちが沈んでいた時期に、自分の社会的な枠から離れて何かに打ち込みたいと思ったからです。そして今では、日本語を読めるようになることを夢見ています。ただそれにはまだまだ時間と努力が必要だとも分かっています。それでも、漢字を一つひとつ覚えるのは楽しくて、学ぶことそのものが今の私にとって大切な時間になっています。