Benvenuto Cellini「ベンヴェヌート・チェッリーニ」

Benvenuto Cellini「ベンヴェヌート・チェッリーニ」

 

モネ劇場の史上初の外国人(ドイツ人)で、初の女性のChristina Scheppelman新劇場長によるプログラミングの最初のオペラで、演出家もモネ劇場初登場T. Strassberger氏。

またこのオペラは、長いモネ劇場史で初めて公演される。

16世紀のイタリア・フィレンチェの実在の彫刻・彫金家ベンヴェヌート・チェッリーニが、58歳の時に自伝「La vita(我が生涯)」を書き(岩波文庫古賀弘訳)、ルソー、スタンダール、ゲーテにも影響を与え、作曲者ベルリオーズもこのオペラを作曲した。

オペラの主題は「芸術・芸術家」で、初演当初は不評でお蔵入りしたが、近年頻繁に取り上げられている色彩的なハッピーエンド・オペラ。

このオペラの中から生まれた管弦楽曲「ローマの謝肉祭」は特に有名。

 

Benvenuto Cellini「ベンヴェヌート・チェッリーニ」

作曲:Hector Berioz(ベルリオーズ1803~1869)

指揮:Alain Altinoglu 

演出:Thaddeus Strassberger

公演日:開演時間19h30 1月28,31日、2月3,5,11,14,17日  

    開演時間15h  2月8日 

チケット発売開始日:11月27日

初演:1838年パリ

全2幕4場 フランス語 約3時間

ウェブサイト(英語ページ):

https://www.lamonnaiedemunt.be/en/program/3565-benvenuto-cellini

 

簡単なあらすじ

フィレンチェの彫金家チェッリーニが、ローマ法王よりギリシャの半神の英雄ペルセウスの彫像の注文を受ける。

彼は法王の財務官の娘テレサに思いを寄せ、彼女も彼を憎からず想っていた。

しかし、チェッリーニのライバルで法王の彫金家フィエラモスカは彼女に横恋慕して嫉妬している。

謝肉祭の日、仮装の雑踏に紛れて、チェッリーニはテレサを誘拐する。

法王は、制作中のペルセウス像をその晩のうちに見事に完成させれば二人の結婚を許すと譲歩するが、失敗すれば絞首刑と宣告する。

職人たちを指揮するチェッリーニの大奮闘を見て、なんと恋敵のフィエラモスカも同じ芸術家として意気に感じて協力する。

ついにペルセウス像は完成し、チェッリーニはテレサとの結婚を許され、めでたく幕となる。

 

詳しいあらすじ

第1幕
第1場 ローマ法王の財務官バルドゥッチの家、謝肉祭最終日の告解の火曜日の前日
法王クレメンス七世が、ギリシャの半神ペルセウスのブロンズ像を建立するにあたり、フィレンチェで評判の彫金師のチェッリーニにその制作を依頼した。しかし、法王財務官バルドゥッチ(バス)は、法王のお抱え彫金師フィエラモスカをその役に推していて、同時に父として彼を娘テレーザの求婚者にしたいと考えているため、この法王の決定には不満である。一方、法王ご指名の栄誉を賜ったチェッリーニは、怠け者の好色でちっとも制作に精を出さないため、法王からの矢の催促を受け、バルドゥッチはうんざりしていた。その上、娘テレーザはどうもチェッリーニに想いを寄せているようなのだ。

 

そんな父バルドゥッチの苛立ちをよそに、娘テレーザ(ソプラノ)は楽しげに謝肉祭のパレードを眺めている。するとチェッリーニから手紙と花束が投げられ、彼女は親の反対を考えて悩み、アリア《愛と義務のあいだで》と揺れる乙女心を歌う。手紙の約束通りに現れたチェッリーニ(テノール)は、優しく愛を語り、彼女の心はときめく。そこへ、やはりテレーザのご機嫌伺いに来た彫金師フィエラモスカ(バリトン)が、仲睦まじげな二人を見つけ、物陰に隠れ様子を窺う。それに気付かないチェッリーニは「明日の晩、広場の道化芝居の時に自分は白い修道衣、助手のアスカーニオは茶色の修道衣に仮装して迎えに行くから、一緒にフィレンチェに逃げよう」と誘う。彼女はその計画に喜んで同意して、チェッリーニと愛の成就を歌う。そこへ予想外に早くバルドゥッチが帰宅し、まだ寝ていない娘を問い詰め、テレーザは機転を利かせ「寝室に誰かいるの!」と叫び、その隙にチェッリーニを逃がす。代わりに寝室に隠れていたフィエラモスカが見つかって、バルドゥッチは「不審者がいる」と騒ぎたて、駆け付けた近所の女たちが逃げるフィエラモスカを追って行く。


第2場 告解の火曜日、酒場
広場の酒場で彫金職人達が飲んでいる。チェッリーニは愛しいテレーザを讃えアリア《栄光は私の唯一の憧れだった》を歌う。職人達は彼らの彫金芸術を称え「彫金師達に栄光あれ」と高らかに合唱する。そして追加のワインを注文するが、酒場の主人(テノール)は「今までのつけを精算してからでないと、酒は出さない」と突っぱねる。そこにチェッリーニの助手アスカーニオ(メゾソプラノ)が、丁度法王から下賜された制作資金を持って現れる。しかし、その資金額はほんの僅かで、怒ったチェッリーニはケチな財務官バルドゥッチを皮肉った芝居をかけるよう芝居小屋に掛け合う。一方フィエラモスカは、友人の刺客ポンペーオ(バリトン)にチェッリーニの今夜の計画を話し、自分らもチェッリーニの計画と同じ修道衣に仮装してテレーザを誘拐しようと企む。

夕暮れになり人々が芝居見物に集まり、バルドゥッチも娘テレーザを連れて現れる。ラッパが鳴り芸人達の呼びかけに合わせ人々が踊り、祭りが盛り上がる。いよいよ芝居が始まるとその内容が、法王財務官バルドゥッチを皮肉ったものなので人々は熱狂する。一方公衆の面前で愚弄されたバルドゥッチは激怒して楽隊になぐりかかる。そこに計画通りチェッリーニと助手のアスカーニオが修道士姿で現れ、テレーザを連れ出そうとするが、フィエラモスカとポンペーオも同じ修道衣を着て乗りこんで来るので、テレーザはチェッリーニを見失ってしまう。すると横恋慕に腹を立てたチェッリーニは刺客ポンペーオと決闘し、彼を殺害してしまう。祭りが一変して殺人の場となり人々は凍り付き、チェッリーニは捕えられてしまう。丁度その時、サンタンジェロ城の大砲が鳴って謝肉祭の閉会となり、一斉に蝋燭の明りが消される。チェッリーニはその闇に紛れて逃走し、同じ仮装をしていたフィエラモスカが殺人犯として逮捕される。その隙に助手アスカーニオはテレーザを連れ出す。

 

第2幕
第1場 灰の水曜日、チェッリーニの仕事場
昨晩の騒動後、アスカーニオとテレーザはチェッリーニの仕事場で彼の帰りを待っている。早朝に修道士の行列が通過し、二人は祈りに参加する。そこへ僧侶の変装のままのチェッリーニが入って来て、テレーザに「一緒にフィレンチェに逃げよう」と告げ、改めて愛を誓い合う。しかし二人の夢は父バルドゥッチの出現で打ち砕かれる。バルドゥッチは殺人と誘拐の罪でチェッリーニを糾弾し、テレーザにはフィエラモスカとの結婚を迫る。その時、法王クレメンス(バス)自らが、注文したペルセウス像の仕上がりを見に現れ、チェッリーニが殺人を犯したことを知り、彼を解雇して別の彫刻家を任命すると告げる。激情したチェッリーニは、石膏像の型をハンマーで壊そうとするが、芸術を愛する法王はそれを止める。チェッリーニは芸術の理解者である法王の気持ちを逆手に取り、1日の猶予を願い出る。法王は今夜までの猶予を与え「約束の時刻までに像を完成させれば、罪の恩赦とテレーザとの結婚を許すが、さもなければ絞首刑に処す」と宣言する。

第2場 
助手のアスカーニオは「出来上がらなければ絞首刑」とアリア《しかし私はどうしたんだ》を歌う。さすがのチェッリーニも刻々と迫る期限を前に「独りで戦うのだ」とアリア《ひどく荒涼とした山々で》を歌い、気ままな羊飼いだったらと沈んでいる。仕事場では弟子のベルナルディーノ(バス)とフランチェスコ(テノール)をはじめ溶鉱炉を守る熟練の職人達が、賃金の少ない辛い仕事に不満を募らせ暗い予言を歌う。チェッリーニが作業を急ぐように皆を宥めていると、恋敵フィエラモスカが取り巻きを連れて乗り込んで来るなり、修道院での決闘を申し込む。血の気の多いチェッリーニはこれを受け剣を取り、テレーザの制止を振り切って出ていく。一方、疲れ切った職人達はストライキを起こそうと団結するので、テレーザが、チェッリーニの為に何とかこらえて欲しいと懇願する。そこに決闘相手のフィエラモスカが戻って来る。職人達はチェッリーニが負けて殺されてしまったと思い込み、テレーザは気絶する。しかしフィエラモスカは、チェッリーニを決闘だとだまして外出させ、その間に職人たちを買収して仕事を中止させる金貨を用意していたのだ。この彼の汚い行為は職人たちを激怒させ、逆にチェッリーニへの忠誠心を主張させる。一方修道院での決闘の待ちぼうけを食らったチェッリーニは、決闘は制作を邪魔するための策略だったことに気づき引き返して来る。フィエラモスカはついに観念し、制作の協力を約束する。

期限の夕刻が迫り、法王とバルドゥッチが到着する。職人達は懸命に溶鉱炉に火をくべるが、フィエラモスカはブロンズ像に使う金属が足りないことを公表し、バルドゥッチと二人でチェッリーニの窮状に満足する。これで万事休すかと思われた時、チェッリーニは土壇場の思いつきで、今までの作品を全て溶鉱炉に投げ込み、職人達も手持ちの金属を投げ込んでいく。すると一杯になった溶鉱炉が爆発し、溶けた金属が鋳型に流れ込み、見事奇蹟的にペルセウス像が完成する(この場面は演出家の見せどころ)。バルドゥッチとフィエラモスカは彼の成功を認め、法王は約束通りチェッリーニに恩赦を与え、彼は彫刻家としての名声、そして愛するテレーザを勝ち取る。職人達が歓声をあげ《彫金師に栄誉あれ》の歌で、目出度く幕となる。

Photos : Vincent Dankaerts