コロナパンデミック: 世界最悪の致死率のベルギーからの若き内科医のレポート 森英毅 著 Kindle書籍紹介

コロナパンデミック: 世界最悪の致死率のベルギーからの若き内科医のレポート 森英毅 著 Kindle書籍紹介

新型コロナ・ウイルスCovid-19の感染において、人口あたりの感染者数の割合が世界でも最も多いとされるベルギー。この国で最高の権威をもつルーヴェン・カトリック大学に、日本人の内科医が研究者として在籍している。2020年夏に電子出版された書籍を紹介する。

 

医師・森英毅氏は、ピロリ菌と胃がんなど消化器関係の病気を専門に治療と研究を行う内科医である。ルーヴェン大学のトランスレーショナルリサーチセンターで研究を行っているなか、2020年春、図らずもコロナで大打撃を受けたベルギーで、現地の混乱と対策を身をもって経験することになる。

森氏は現役アマチュアラグビープレイヤーでもある。いわゆるコンタクト競技であるラグビーは、感染予防にきちんと向き合わなければならないスポーツだ。また、3児の父親でもあるので、ベルギーの学校での対策も細かに観察できた。実体験に勝る観察法はない。

本書は、菌と病気の関係について知見のあるドクターが、病気と社会の両方について観察し、その経験を書き残したものである。

コロナの特性や人間の免疫のメカニズムという病気のテーマと、感染者が多数出たベルギーの政府の対応や社会の様子というテーマの両方を追っている。

また、日本に緊急帰国した貴重な経験から、ベルギー、日本の両国の取り組みについても、厳しい視線でその違いを分析している。果たして我々は、この未曾有の危機にきちんと対応できているのだろうか?

 

電子書籍Kindleで前編と後編に分かれており、前編はコロナ発生からベルギーでのロックダウン、日本への緊急帰国の体験と、「ピロリ菌感染症と胃がんの関係から学ぶこと」など医学的知見から、コロナについて多角的な考察が展開される。HLA多型、選択的IgA欠損症、ACE受容体遺伝子多型、BCG、川崎病など、医学の専門分野で気になるキーワードについても、簡潔にまとめられていて勉強になる。

感染症と病気の関連を考える際には、必ず宿主因子(人間)と感染症因子(細菌、ウイルス)の双方向に注意を払う必要があることが、ピロリ菌感染症と胃がんの関係から明確に例示されているのです。(本書から引用)

 

後編は、ベルギーの社会、文化、医療についての紹介から、ロックダウンの方法と段階的解除の様子について語られる。さらに、日本との比較に議論が及ぶにあたって、日本特有の「自粛」による社会の閉塞感についても懸念が表明される。この点は医師として勇気をもって踏み込んだ議論だ。

人との関わりをゼロにすることが出来れば、新型コロナウイルス感染症にかかることはないかもしれませんが、実際に生活をしていく、仕事をしていく中で、リスクをゼロにすることは出来ません。社会のルールを守っている中で、感染してしまうことに対する批判はあってはならないことですし、そのためには「自粛要請」という曖昧な雰囲気ではなく、しっかりとした社会のルールが尊重されることが、重要なのではないでしょうか。(本書から引用)

 

あくまでも論理的に、体験をもとに分かりやすく書かれた本は、ベルギー在住の人にはぜひ読んでいただきたい作品。アマゾンからオンライン版のみ購入可能。

LINK : コロナパンデミック: 世界最悪の致死率のベルギーからの若き内科医のレポート 前編 Kindle版
¥250 Kindle 価格

LINK : コロナパンデミック: 世界最悪の致死率のベルギーからの若き内科医のレポート 後編 Kindle版
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ルーヴェン大学(KU LEUVEN UNIVERSITY)のロゴが入った上着の著者、森英毅氏

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