オペラ『セヴィリアの理髪師』で成功を収めた翌年、歌曲の作曲家ジョアキーノ・ロッシーニが25歳の若さで作曲した作品。約24日間という短期間で書かれた本作は、伸びやかな旋律が印象的な名曲で、歌い手には高度な技巧が要求される。
原作はフランスの詩人C. Perrault(1628-1703)の童話『Cendrillon』。本作の台本はJ. Ferretti(1784-1852)が、同名のフランス・オペラをもとに書いた。
童話のシンデレラの設定はオペラ劇場用にいくつか変更されている。「継母」は「継父」、「ガラスの靴」は「腕輪」、「魔法使い」は「王子の家庭教師兼哲学者」など。
魔法の幻想的な雰囲気はないが、登場人物の変装があり、早口歌唱やドタバタも盛り込まれ、また背後には真摯なアリアも含む楽しいオペラ・ブッファ(喜劇)である。
演出家D.Kramer、指揮者S.Scappucciは、ともにモネ劇場初登場である。
La Cenerentola「チェネレントラ(シンデレラ)」
作曲:Gioachino Rossini(ロッシーニ 1792~1868年)
初演:1817年1月25日 ローマTeatro Valle劇場
指揮:Speranza Scappucci、Stefano Sarzani 演出:Daniel Kramer
公演日:12月15,16,17,19,20,22,23,27,29,30,31日
開演:19h30 日曜日15h、12月31日17h
チケット発売開始日:8月28日
https://www.lamonnaiedemunt.be/en/program/3932-la-cenerentola
詳しいあらすじ
第1幕
第1場
ドン・マニフィコ男爵には3人の娘がいるが、末娘のアンジェリーナ(=チェネレントラ=シンデレラ)は後妻の連れ子で、異母の姉たちにいつも苛められ、父の男爵からもないがしろにされている。
姉クロリンダ(ソプラノ)と次姉ティスベ(メゾソプラノ)が踊りの稽古やお化粧に夢中でいると、アンジェリーナ(コロラトゥーラ・コントラルト)は、1人かまどの前で有名なアリア≪昔1人の王様がいた≫を歌い、姉たちに叱られる。
そこへ王子にふさわしい結婚相手を探している、王子の教師で哲学者アリドーロ(バス)が、乞食の姿に変装して入って来る。
姉達は冷たく追い払うが、アンジェリーナはそっと食物を与える。
そこへラミーノ王子の使者たちが現れて「王子が花嫁を探しているので、娘たちを宮殿に招待する」と伝える。
姉たちは早速アンジェリーナをこき使って化粧をしたり、使者にチップを渡したりする。
姉たちに追い払われた乞食姿のアリドーロは、アンジェリーナに「貴女にはきっと良い事があります」と言って出て行く。
落ちぶれ男爵ドン・マニフィコ(バス)が、騒ぎのせいで目が覚めたと、ロバの夢の歌を滑稽に歌う。
姉たちから妃選びの舞踏会に行くと聞いた彼は、どちらかを王子の花嫁にして落ちぶれた男爵家を救おうと皮算用をする。
皆がいなくなった所へ、アリドーロから話を聞いて従者ダンディーニに変装したドン・ラミーロ王子(テノール)が、そっとやって来て「愛情のない結婚なんて真っ平だ」と呟いていると、誰もいないと思って入って来たアンジェリーナは、驚いて茶碗を落としてしまう。
恐縮した王子が優しく話しかけ、彼女は自分の身の上話をし、惹かれ合った2人は二重唱≪何かわからない甘美なものが≫を歌う。
アンジェリーナは姉に呼ばれ出て行き、やがて王子に変装した従者ダンディーニ(バリトン)が家来と共に登場し、姉たちは着飾って偽の王子の気を引こうとする。
アンジェリーナは先程出会った従者(実は真の王子)に心をときめかせ、義父に「せめて半時でも舞踏会に行きたい」と頼むが、ドン・マニフィコ男爵は許さない。
王子の教師である本来の姿に戻ったアリドーロは「この家には3人の娘がいる筈だ」と主張するが、ドン・マニフィコ男爵は「アンジェリーナは召使いであって3人目の娘はすでに他界している」と嘘をつく。
アリドーロは1度姿を消して、再度乞食姿に扮して現われ、アンジェリーナに「王子の舞踏会に連れて行ってあげよう」と力を貸す約束をする。
第2場
ドン・ラミーロ王子の宮殿の1室。偽王子ダンディーニは、ドン・マニフィコ男爵を「貴方は葡萄酒の味の分かる人だ」とおだてる。姉たちは、自分こそが妃になるのだと姉妹喧嘩を始める。
第3場
大広間では、皆がドン・マニフィコ男爵は酒ききの名手で王宮の酒蔵番になるだろうと言い、男爵も陽気に歌って廷臣達と退場する。
偽王子に扮したダンディーニはドン・ラミーロ王子に、2人の姉妹はどちらも傲慢で不適格だと伝える。
姉たちが現れて偽王子のダンディーニにうるさくつきまとうので、彼は「王妃に1人、もう1人は従者の嫁に」と従者ダンデーニに扮した王子を見ながら言い、姉妹は「家来の嫁などご免だわ」とはねつける。
王子が苦笑している所に、アリドーロが美しい娘を連れて現れ、そのヴェールを取るとアンジェリーナにそっくりなので一同は驚き、皆はその美しさを讃える。
第2幕
第1場
ドン・マニフィコ男爵は不思議な美しい娘の出現に不安になるが、「運良く玉の輿に乗っても父の事を忘れずに」と面白おかしく2人の娘に歌って退場。
ドン・ラミーロ王子が「先程の娘は男爵の家で会ったあの不幸な娘に似ている」と思っていると、偽王子ダンディーニが、その娘を追ってやって来るので、王子は隠れて2人の様子を窺がう。
偽王子ダンディーニが愛をささやこうとすると、彼女は「私は貴方の従者に恋をしている」と告白。
アンジェリーナの「自分の誇りは美徳で、自分の財産は愛情だけ」と言う言葉を聞いた王子は、地位や財産に心が動かない彼女に感激し、アリドーロを証人にして結婚を申し込む。
アンジェリーナは自分の片方の腕輪を渡して「これと同じ腕輪をしている私を見つけた時に、もし貴方が嫌にならなければお受けします」と言って宮殿を去る。
王子は、難曲アリア≪きっと捜し出してみせる≫を歌い、馬車の用意をさせる。
一方ドン・マニフィコ男爵が偽王子ダンディーニに「何とか娘を花嫁に」と迫るので、彼は「実は私は偽の王子だ」と白状し、男爵は怒り出す。
アリドーロは自分の思惑通りに事が進んでいることを喜び、後は男爵の家の前で王子の馬車を転倒させるだけだと独り呟く。
第2場
家に戻ったアンジェリーナが、今まで通りの姿で≪昔1人の王様がいた≫と歌っていると、男爵と姉たちが帰って来て「宮殿でお前にそっくりな娘を見た」と言い、彼女に当り散らし夕食の準備をさせる。
外は激しい嵐となり馬車が転倒する音が聞こえ、従者姿に戻ったダンディーニが入って来る。
彼はそこがドン・マニフィコ男爵の家だとわかりびっくりし、ドン・ラミーロ王子も入って来る。
アンジェリーナも皆も、従者だと思っていた人が真の王子だと知って驚く。
王子は、アンジェリーナの腕の腕輪を認め、彼女が舞踏会に現れた美しい娘だと判る。
男爵や姉たちがアンジェリーナを罵るが、彼女は王子に父や姉たちの許しを乞い、王子に連れられて宮殿に行く。
第3場
廷臣達が王子とアンジェリーナの結婚を祝い善事の勝利を合唱する。
アンジェリーナは、過去の事を詫びる父や姉達を許す事が復讐を果たした事になると、超絶技巧の華麗なアリア≪悲しみと涙に生まれ育ち≫を歌い、人々が祝福する合唱の中、めでたく幕となる。

