神様は、なんとブリュッセルに住んでいて、彼が文章を入力すると、すべてそれが実際に起こるというパソコンで世界をコントロールしている。
物語
いじわるで怒りん坊で、どうしようもない神様。その娘エアは、父のいない間にその万能パソコンをいじり、なんと世界中の人々に各個人の余命期間を携帯メッセージで知らせるという行為に出る。
突然、神様からメールを受取り、あと何年、いや何日、いや、数時間、、、と自分に残された人生の長さを知らされた人々は、一体どんな行動に出るのか?
エアは閉じられた神様の家から、洗濯機の中を通って外界に飛び出す。怒り狂った父である神様も娘エアを追って地上に降り立つ・・・。
この映画は、運命の転換期を迎えた人々のドラマをオムニバス形式で表現している。例えば、裕福なマダムを演じるフランスの大物女優カトリーヌ・ドヌーヴが人目を気にせず動物園の大きなゴリラと恋に落ちたり・・・。
レビュー
フランス語のオリジナル・タイトルは「現代の最も新しい新約聖書」ということで、「最新の新約聖書」(Le tout nouveau testament) 。この題だけ見て宗教色の非常に濃い、ちょっと辛気くさい映画だろうと勝手に想像していたが、なかなか面白い楽しめるベルギー映画。
個性派ブノワ・ポールヴールドが演じる、家庭内暴力をふるう中年オヤジの神様は、地上で散々な目にあって神様の面目丸つぶれ。キリスト教信者からの反発がなかったかと心配になるほど。
監督・脚本は実力派ジャコ・ヴァン・ドルマル。青い鳥でも紹介した『トト・ザ・ヒーロー』で長編デビュー。シュールかつ叙情的な作品づくりは健在。
カトリーヌ・ドヌーヴの他、ベルギー俳優としてはフランソワ・ダミアン(『ディッケ・ネック』)、ヨハン・ヘルデンベルフ(『オーバー・ザ・ブルースカイ』)など実力派の演技も光る。
日本では2016年5月27日公開予定のこの映画、日本語のタイトルは「神様メール」となったらしい。ベルギー流、シュールなジョークをご堪能あれ!