ベルギー政府、失業手当は2年以上支給しない方針へ大転換

ベルギー政府、失業手当は2年以上支給しない方針へ大転換

ベルギー連邦政府の歳出削減改革の一環で、失業手当は2年以上受給できないという制度改革が決定し、今年18万人ものが失業手当を打ち切られる。かなりの大人数が収入を絶たれることになり、社会的影響も心配だが背景を調査してみた。

規律がゆるい従来の制度

そもそも失業手当は、会社勤務だった人が突然解雇されても、国がある程度の生活補助を保障することで、次の仕事が見つかるまで安心して過ごせるセーフティーネットである。

欧州連合加盟国では各国が独自にルールを定めており、期間は数ヵ月から最長で2年程度が標準的と言える。隣国フランスは27ヵ月、オランダは24ヵ月、ドイツは12ヵ月。(日本では数ヵ月〜1年未満)

病気や怪我など個別の事情があれば期間の延長もあり得るが、諸外国の例を見ると、もし失業状態が長引いて生活が苦しくなった場合は、別制度への移行が行われるのが基本である。

しかしながら、ベルギーは受給者が仕事を探す努力をしているなどの条件付きで、失業手当という枠組みのなかでの長期支給が可能な国であった。

実際に昨年春の時点で国内の失業者が約30万人。そのうち20年以上失業しているのが1952人という報告も出ている。さらに失業10年以上の人数が1万5819人、5年以上が10万人以上という。

数ヵ月で失業手当が打ち切られてしまうドイツ人にしてみれば、10年も20年も「失業者」としてお金がもらえるベルギーは「失業者の天国」に見えるに違いない。

 

段階的な支給打ち切り

「2年以上は失業手当を出さない」という骨太の改革を実行するにあたり、支給打ち切りは段階的に行われている。2026年1月1日には20年以上の人に対して打ち切り、3月1日は8〜20年、4月1日は8年以下と続く。その後もさらに条件が厳しくなり、失業手当を受ける人の数は1年間でほぼ半減する。

当初N-VA党は20億ユーロもの節約だと豪語した。しかし、これは失業手当を単体として見た試算である。

 

生活保護の受給者の増加へ

支給を打ち切りされた全員が一念発起して新しい仕事につくかといえば大いに疑問が残る。政府は、3分の1が新しい仕事を見つけ、3分の1がパートナーの扶養に入り、3分の1が生活保護を求めると予想している。  だが、ベルギー国立銀行は、政府予想は楽観的すぎで、新しい仕事を見つける人の割合は4分の1にも満たないのではないかと声明を出した。また、国民全体の購買力も低下を免れないとも指摘される。  生活保護の窓口対応や審査などの業務も増加する。地方の社会福祉センター(CPAS/OCMW)では急ピッチで対応が行われている。

 

財政再建をするベルギーの背景

ベルギーの公的債務残高(GDP比)は約105〜106%前後と高く、ギリシャ、イタリア、フランスに次いで不名誉の4位。また、政府予算赤字もGDP比で4.4%でEU平均の約3%より高い水準。ベルギー政府は多党連立の難しい舵取りをしつつも、財政規律の見直しを推し進めている。 

 

写真)バート・ドゥウェーヴァー首相(N-VA党)と欧州委員会ウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長

 

失業手当はどのくらいの金額が受け取れるのか?

失業手当の支給額は最後の給料の額面や、上限下限の枠組み、さらに扶養家族の有無など複数の要素によって決められる。  基本的には最初の3ヵ月は額面金額の65%、その後の9ヶ月は60%が給付される。手当金自体は課税対象(約10%)である。したがって、平均的な給与の人は額面の半額以下を受け取ることになる。(編)

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