パレスチナ支援の大規模デモ行進がブリュッセルで開催される

パレスチナ支援の大規模デモ行進がブリュッセルで開催される

11月11日午後、ブリュッセル北駅から中心街を抜けてミディ駅まで、パレスチナ支援者たちのデモ行進が行われた。参加者は警察発表で21.000人という大規模なものになった。主催者のベルギー・パレスチナ協会は45.000人近くが参加したと主張した。

この日、欧州の大都市では同様のデモ行進が開催された。ガザ市民に集団制裁を否応なく課すイスラエル政府に対して抗議の声が上がった。

反イスラエル政府とユダヤ人差別の違い

ブリュッセルのデモは全体的に平和的に進み、イスラエルの軍事行動に対する批判はあれど、ユダヤ人に対する人種差別的表現は見受けられなかった。ミディ駅のスピーチ会場には、ベルギー・ユダヤ人進歩主義者連合のメンバーも参加し、ユダヤ人のなかにも軍事侵攻は望ましくないと考えている人はいると発言した。

戦争が続き、死者と怪我人が増大するなか、ユダヤ人が悪であるという人種差別的な考え方が拡散する傾向にある。今回のデモではそういった暴力的な言動は避けられ、イスラエル政府とユダヤ民族を切り離して語ろうとする努力が見られた。

ユダヤ系施設の警備強化

今後、ユダヤ人を対象にしたヘイト事件やテロ破壊活動が活発になるのではないかと、ベルギー政府も警戒を強めている。内務大臣アネリス・フェルリンデンは、連邦警察のパトロールをアントワープとブリュッセルで追加するように指示した。

ユダヤ人の多いアントワープでは市長バート・ドゥウェーヴァーが、政府の対応が不十分であると批判している。

左からスペインのサンチェス首相、イスラエルのイツハク・ヘルツォグ首相、ベルギーのドゥクロー首相。

ベルギー首相が「EUを代表して」イスラエルの軍事行動を批判?

11月24日にエジプトとガザとの境界にあるラファを訪問したベルギー首相アレクサンダー・ドゥクローは、「軍事行動をするにしても国際人道法を遵守する必要がある。市民を殺すことは、今すぐ止めなければならない。あまりに多くの人間が亡くなってしまっている。ガザの破壊は受け入れられない」と発言。

さらに、スペインのペドロ・サンチェス首相と共に、欧州連合を代表してメッセージを伝えているとした上で、ドゥクロー首相は「この紛争を解決するのは武力ではない。人々がお互いに話し合って、政治的な解決をしなければならない日が来る。それだけが唯一可能な解決策である。ヨルダン川西岸地区のイスラエル系移住者の暴力や、罪のない人々の殺害を止めなければならない」と語った。
しかし、イスラエルの占領政策を非難する内容は、欧州連合の全体としての姿勢を反映したものとは言い難い。これから欧州連合はイスラエルとパレスチナの恒久的な和平に向けて、実質的な貢献ができるのだろうか?

【解説】
ユダヤ人コミュニティー

19世紀に建国されたベルギーでは政教分離が原則で信仰の自由が保障されたため、多くのユダヤ人を引き寄せた。第二次世界大戦中はナチス占領下で迫害があり、ベルギー市民のなかにはナチスに協力した者も、ユダヤ人をかくまった者もいた。現在、ベルギーには約4万人のユダヤ人が暮らし、その半数はアントワープ在住。ベルギー国内には45のシナゴーグがある。

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