清野 SEINO

2015年5月に開店したフランス料理店SEINO。オーナーシェフの清野稔さんは、フレンチを基本に和の食材や日本酒を自然に取り入れた料理を展開。印象的な内装、手作りの器は友人のアーティストたちによるもの。

清野 SEINO
Rue du mail 81, 1050 Ixelles
+32 2 538 84 76
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お洒落なレストランが多いシャトラン界隈に、フランコ・ジャポネの新店がオープンし注目を集めている。日本人シェフが創り出す新鮮な味の調和に、ブリュッセル在住のフランス人たちがいち早く反応し、トップシェフやグルメ本の編集者たちも来店するという。

現在、レストランSEINOではお昼のランチ、夜のディナー、ともにコース一種のみ提供。ランチは肉か魚を選択できる。目新しいのは特に日本を意識した前菜である。料理法や薬味などに和食のエッセンスが取り込まれている。さらに使われている器の多くが、ブリュッセル在住の日本人陶芸家・日玉浩史さんの手によるもの。すべてがクリエイティブである。

2015年12月中旬にディナーを取材した。前菜にミニ茶碗蒸し、ナスのおひたし。次に餃子とフォアグラの組み合わせ。3番目の皿はイカとエリンギを柚子のソースでいただく。メインは柔らかくてクセの少ないイノシシ肉。すべて日本酒を合わせていただいた。

オーナーシェフの清野稔(せいの・みのる)氏は、北海道出身。辻調理師専門学校を卒業してから小原敬シェフのもとで2年間修行した。1968年にシベリア鉄道で渡仏した小原氏は、日本におけるフランス料理の先駆者といえる存在。現在は東京の大崎に「おはらス レストラン」を構える。「彼の料理はすごい。特に小原さんの赤ワインソースを超えるものには出会ったことがない。厳しく叩き込まれました」と清野さん。

その後、日本のレストラン企業のパリで新店舗(懐石料理)の立ち上げに参画。今のレストラン開業にはそのときの経験も生きている。

「若い頃からフランス料理は徹底的に経験を積みました。ただ、自分のお店を開くに際しては、日本人だから日本人の何かを出そうと思ったんです。日本にしかない食感や味、例えば西京焼きやあんかけソースなど、他の店ができないものを意識して出そうとしています」

「ただ、最後のメインはフランス料理のしっかりとした味が必要なようです。僕はそれは分かるなと思って。日本だと最後にご飯でしめるでしょ? あれって、ヨーロッパの感覚でいうと、最後に赤ワイン飲んで、お肉をがっつり食べて、ああ、美味しかったー。そしてデザートなりコーヒーなりで締めくくる。日本人のようにご飯だと踏ん切りがつかないんですよ」

「だからレストランSEINOでは、基本がフランス料理で、その上に日本の料理法や食材をアクセントに使っている。このスタイルは特に確立されたものでもないし呼び名もない。フュージョンと言われるのもなんだか嫌なんですけど、最終的には、僕が食べて美味しければそれでいいという信念で料理を作っています。パリにもそういうお店があって、まったくジャンルにとらわれないんですけど、美味しいんですよ。フランス料理だ、日本料理だと言っても、昔ほど境目がなくなってますし、料理人はみんな試行錯誤しながら自分の料理を作っているんです」

「そういった意味で、家庭料理でも和洋中いろいろなものを楽しむのが日本で、その感覚は日本にしかないものでしょう。前菜は日本酒と一緒に楽しんでもらって、メインのお肉に赤ワイン。最後は日本のウィスキーやデザート感覚で梅酒を飲んでもらうなんていう組み合わせもありますね」

印象的な内装は、ブリュッセル在住のアーティスト仲間である建築家の三木龍郎さんによるもの。ご本人からアイデアスケッチをお借りしたので初公開。自然の木の枝から紙のランプがぶら下がり、狭いスポットライトでテーブルを照らすイメージ。不規則に宙に浮かぶ照明が、料理とあいまって想像力を刺激してくれる。 

コース料理(一種類)のみなので、アレルギーや苦手な食材があれば電話予約の際にお伝え下さい。

清野 SEINO
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1050 Ixelles
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