ベルギーで教育改革に反対する大規模デモに、教師・学生ら「教育の質と機会を損なう」と反発

ベルギーで教育改革に反対する大規模デモに、教師・学生ら「教育の質と機会を損なう」と反発

ベルギーの首都ブリュッセルで6月、教師や学生、教育関係者らによる大規模な抗議デモが行われた。

デモ参加者が反対しているのは、フランス語圏共同体(ワロン・ブリュッセル連盟)の政府が進める教育改革と歳出削減策だ。その柱となるのが、教育予算の圧縮や教員の労働条件の変更などだ。

与党MRは、改革の目的について「教員のキャリアを簡素化し、教育水準を引き上げるとともに、学習支援やデジタル教育を強化するため」と説明している。

一方、教師は授業負担の増加が、学生は授業料引き上げが、教育現場の疲弊や教育格差の拡大につながると訴えている。

 

授業料の引き上げ

改革の中でも最も反発を招いているのが、高等教育の授業料引き上げだ。大学や高等教育機関の年間授業料は835ユーロから1,194ユーロへ値上げされる予定である。

これについて政府は、フランダースとの格差是正や財政健全化が目的だと説明するが、学生団体は「経済的に厳しい家庭の学生ほど進学を諦めざるを得なくなる」と懸念を示している。

 

授業時間の増加も給与UPなし

教員に対する新たな勤務条件も論争となっている。改革では、中等教育の教員が週当たり約2時間多く授業を担当する一方、追加の給与は支給されない。

実質的に約10%の授業時間増加となるため、教員組合は「すでに人手不足が深刻な現場で負担だけが増える」と批判。
さらに終身雇用にあたる任用制度の見直しや、病気休暇など労働条件の変更も盛り込まれ、教職の魅力低下につながるとの懸念が強まっている。

 

財政再建

政府は、フランス語圏共同体が約19億ユーロの財政赤字を抱えており、教育制度を維持するためには改革が避けられないと説明する。
歳出を抑えることで将来的な教育投資を確保し、持続可能な制度へ転換することが狙いだという。

しかし、教員や学生側は「財政再建の負担を教育だけに押し付けている」と反論し、教育環境の悪化が将来世代へ大きな影響を及ぼすと訴えている。

教育改革をめぐる対立は今後も続く見通しであり、財政規律と教育への公的投資のバランスをどう取るかがベルギー社会の大きな課題となっている。

 

非EU学生の「追加負担金」と、より厳格な在学条件

ちなみに、EUに加盟していない国出身の学生、例えば日本人やアメリカ人などの留学生は、授業料に加えて「追加負担金」を支払う制度がある。ベルギーのフランス語圏の大学では年間4,175ユーロと金額が決まっている。授業料より高額である。

またベルギー政府は、学部とマスターのレベルで取得すべき単位数を設定するなど、留学生による制度の濫用を防ぐ施策も今年から開始した。

 

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