ランチガーデンが倒産。ブリュッセルで消滅

ランチガーデンが倒産。ブリュッセルで消滅

ベルギーの外食チェーン大手であるランチガーデンが破産を発表し、経営規模を縮小して営業を続けることが明らかになった。

大型スーパーの敷地に併設されていることも多いランチガーデンは、お買い物がてらの食事や休憩に便利であり、ヘルシーな食事も人気のお店である。

同社では、2020年には1100名ほどの従業員が働いていたものの、2023年の末には800〜900名に減少していたという。

新型コロナウイルスによるパンデミックで危機的な経営状況に陥ったランチガーデンは、イギリスの投資会社ICGから、2023年に1350万ユーロ、翌2024年に500万ユーロもの資金援助を受け経営の立て直しを図ってきた。

しかしながら、パンデミックに加え、燃料費や食料費の高騰、さらには家賃、人件費の上昇などの影響を受け、経営が再び軌道に乗ることはなく、この度破産が発表された。

破産から経営再建に向けて

ただし、同社は、アントワープに本社を構える投資会社CIM キャピタル(CIM Capital)と契約を結ぶことに成功し、完全な廃業は免れた。

1月22日、ランチガーデンは、CIMキャピタルとの契約の結果、ベルギー各地で展開していた全62店舗のうち、モンスやニヴェルなど、41店舗の営業を再開すると発表した。このうち24店舗が直営店、17店舗がフランチャイズ店とのことだ。

これにより、800名程度の全従業員のうち、約430名が職場への復帰を果たす。

ランチガーデンの最高経営責任者のステファン・ブラウワーズ氏は、破産発表の翌々日に、「CIMキャピタルとの議論は、最初から建設的でした。私たちは共に現状の明確な分析を行い、より柔軟で適応力ある構造をもってランチガーデンの持続的な未来を保証するために、どのように協力すべきか見出すことができました」と述べ、経営再建に向けて視界良好である点を強調した。

労働組合の間には懸念も?

これにキリスト教労働組合は事業の継続には満足感を示しつつも、半数近くの従業員の解雇を遺憾としたうえ、現場に復帰する従業員の労働条件に対する懸念を表明した。
そもそも事業継続をめぐる交渉に関して、組合は散発的にしか関与できず、失職する従業員の数もより抑えることができたかもしれないと組合側は憤慨している模様だ。今のところストライキの実施は予定されていないが今後の動向が気になる。

今回の騒動で、ブリュッセル首都圏地域の店舗はすべて閉店の運びとなった。ブリュッセル在住の日本人に馴染みのあったランチガーデン。寂しさを感じている常連も多いだろう。


【解説】

CIMキャピタルは、アントワープに本社がある投資会社。主に、経営状況が悪化している企業や財政および資金運用の強化が必要とされる企業に対する支援を行っている。すでにベルギーでは、いくつもの企業の再建を導くことに成功してきた。同社は、「CIMキャピタル再建ファンド」と「CIMヴェンチャーズ」という二つの独立したチームに分かれており、前者は大企業、後者は中小企業を中心としたサービスを行っている。しかし、両チームの経営母体は同じであり、互いに知識や経験を他方のチームに還元することで、事業の継続と質の向上に努めているようだ。

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