ブルフ広場にある聖血礼拝堂は、12世紀にフランダース伯爵家のチャペルとして建てられたもので、十字軍に参加したティエリー・ダルザス Thierry d'Alsace(蘭:Diederik van de Elzas)が、東方からキリストの聖なる血を持ち帰ったことに由来する教会。
Photo: Ad Meskens
ティエリーは二回目となる十字軍遠征の際、聖地でキリストの血を聖遺物として手にします。ティエリーの2番目の妻は、エルサレム王であったボードワン3世(アンジュー伯)の姉シビーユであり、その縁があり義理の弟から聖なる血を受け取ったと口承伝説にあります。(上掲写真はティエリーとシビーユ)
しかし、1150年にブリュージュに届けられたことになっているこの伝説は、古文書の文献からは真実性に乏しく、実際には1204年の第四次十字軍の際にコンスタンティノープルからブリュージュにもたらされたのではないかと推測されています。
中世のブリュージュ市民たちは、キリストの聖なる力で都市を守ってもらいたいという願いを込めて、キリストの昇天祭の日に行列をなして城壁をぐるっと一周する「聖血の行列」というプロセッション行事が行われていました。現在でもその伝統は受け継がれていますが、ルートは大幅に簡略化され、中心部を小さく一回りするコースになっています。
建物は12世紀初頭にロマネスク様式で建てられ、現在もその名残を下部の聖バジリウス礼拝堂に残しています。一般に公開されている上部礼拝堂は時代が下って15世紀のゴシック様式になっています。
実際にガラスの容器に納められた聖血を拝観することができます。ミサの終了後、祭壇のところで列に並びましょう。聖血の前で祈りを捧げるか、容器に軽く触れることも許可されています。
また、宝物館にはプロセッションのときに聖血が納められる豪華な宝石のついた箱もあり、一見の価値があります。
【礼拝堂のオープン時間】
午前 9:30 - 12:00 午後 14:00 - 17:00
ただし冬期(11月15日から3月31日まで)水曜日の午後はクローズ
礼拝堂は入場無料。聖血拝観は寄付が好ましい。
【聖血の遺物・拝観】
ミサ終了後11:30 - 12:00
午後は14:00 - 15:00(金土日曜は16:00まで)
【宝物館】
宝物館入場は2ユーロ。
聖血礼拝堂サイト
http://www.holyblood.com/?lang=en
※詳しいオープン時間は最新情報をサイトにてご確認ください。
オススメ図書
「ブリュージュ フランドルの輝ける宝石」(河原温・著/中公新書 2006年)
聖血の行列を含めて、ブリュージュの誕生から近代まで、歴史と芸術の側面から詳しく記した良書。フランダースの栄光と挫折の重要な歴史の証人であるブリュージュについて最高の入門書で大オススメです。