チルチルのひとりごと 対コロナ模範生ベルギーの取り組み

フィナンシャル・タイムズがベルギーの国家と社会のコロナ対策が「模範的」と褒めてくれました。

現地にいると、なかなか上手にゲームを進めている感覚があります。正直なところ、これほどベルギーに住んでいることを誇りに思ったのは、サッカーワールドカップでベルギーが日本に逆転勝利したとき以来です。

コロナの特徴を把握したうえで、社会がどう適応したらいいのか、徹底的にロジカルに考えたうえで施策を展開している印象があるからです。

備忘録メモとして、今回のベルギーのコロナ対策を、ざっと項目別に書き出してみました。足りないところや不正確なところがあれば、ぜひ読者の皆さんのご指摘をいただければ幸いです。

【移動制限】
EU・シェンゲン閉鎖
ベルギー国境閉鎖
同時にベルギー人の帰国事業

【物流対策】
医療、食料、必要不可欠なサービスの例外措置
越境労働者の例外措置

【接触対策】
イベント禁止
美術館・博物館閉鎖
レストラン・カフェ閉鎖
一般の店舗閉鎖
美容室閉鎖
公園遊具は使用禁止
公園での社会的距離を警察が徹底
罰則を導入(罰金、服役)

【学校対策】
大学は遠隔講義
義務教育は休校
医療ケア関係者の子女は学校で預かる
事情があれば学校で預かる(老人に子守りさせない)
託児所とベビーシッターは稼働

【老人対策】
老人ホーム訪問禁止
食材買い出し代行ボランティア
スーパーの老人専用タイムなど一部実施

【企業対策】
テレワーク強制
社会的距離の実施
建設など各職種での細かい制限実施
臨時失業の制度で中小企業を救済

【医療】
人工呼吸器つき病床1900を用意
マスク・手袋・消毒液など衛生品の調達(これは苦労している)
コロナ患者と一般患者のゾーン隔離
人工呼吸器の確保
大学がオープンソースで簡易・人工呼吸器を製造
医療関係者は食品店の列に並ばなくてよい
毎晩20時に市民が拍手(おまけ)

【コロナ試験】
可能な限り実施
一部ドライブスルー方式採用

【自宅隔離】
軽症者は、そのまま自宅隔離
航空便での帰国者は14日自宅隔離

【情報開示】
特設サイトの設置
専門家が毎日ブリーフィング
透明性は高い

【イメージ戦略】
議会、プレスなどで社会的距離を徹底

【政局】
最長6ヶ月という時限付きの特別組閣が実現


■雑感■
「手術には成功したけれど、患者は死亡しました」というブラック・ジョークがあるように、コロナ対策は完璧だけど、経済危機で悲惨になりました、という事態は避けたいわけです。となると、こうした措置も効果と副作用を常に天秤にかけつつ、実施の開始タイミングと終了タイミングには最大限の注意が必要だと思います。

イギリスが集団免疫がむにゃむにゃと言いながら、EUよりも遅いタイミングで動いていたのが、大陸から見ているとイラっとさせられました。足並みを揃えないなら、ドーバー海峡をすぐに封鎖すべきでした。

イタリアとスペインの医療現場が飽和してしまったのは、今回のコロナ危機でEUが経験した最大の敗北です。フランスはTGVや軍のヘリを使って、患者を移動させる派手な作戦をとっていますが、あれを国境をまたいでEUレベルで実施できなかったのか。

国境という壁は、まだ高く、厚く存在し、我々はそれに守られている。しかし、その反対側では壁によって殺される人もいると、改めて意識させられた日々でした。南の国はまたしてもEUに見捨てられたと感じたことでしょう。ニュースで惨状を見るにつけ、心が痛みます。

ロックダウンは続きますし、延長も十分ありそうですが、皆さんどうでしょうか、一応折り返し地点は過ぎて、コロナ後の世界をどうしたものかと思いを巡らせている方も多いのではないでしょうか。

コロナ後の未来には、どんな社会があるのでしょう。

27.mar.2020

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