【ミチルのひとりごと】花粉症

ベルギーでも、コロナ・ウイルス狂騒曲が流れはじめた2月。私にとって毎年恒例の花粉症もはじまった。

鼻水が止まらない。くしゃみが出る。目がかゆい。鼻が詰まる。

そして辛いのは、コロナに感染しているのではないかと疑われること。最初の頃は、原因がコロナなのか花粉症なのか私自身ですら判断できず、もしかしたらコロナに感染しているのではないかと恐々としていた時期もある。しかし、心配性の私ミチルが勝手に想像を膨らませていただけで、熱が出るわけでもなく、やはり花粉症のせいらしい。

花粉症にかかる前は、花粉症の人を見て、大変そうだなと同情しつつ、あくまでも他人事だった。絶対に花粉症にはなりたくないな、と思っていた自分が懐かしい。まさかアレルギー性鼻炎になるなんて・・・。

あれからもう10年以上経つ。どんな薬を試して見ても、レーザー手術なるものを受けてみても、何を試みても治らない。

発症したのが日本で、ベルギーに行ったら花粉症が治るのでは?など根拠のない希望を持っていたこともあったが、東京よりも緑の多いブリュッセルで、悪化することはあれ、改善することは少しもない。

しかも日本で長年ずっと服用していた漢方薬が手に入らなくなり、ベルギー生活当初は苦労した。最近ようやく症状が少し軽減される薬を見つけて、なんとかサバイブしている。

もう何年もこんな状態だと、本人は慣れてしまい、辛いけれどそれが通常、という状況なのだが、他人から見るとなぜか、かわいそうな人に映るらしい。

スカイプ越しに話す母や叔母は、いつも、一体どうしてそんなことになったのか、(家族の中で花粉症を発症したのは私一人)もうどうしても治らないのか、と心配ばかりして、ヨーグルトがいいらしいとか、ヤクルトを飲むと治るとか、教えてくれる。

ティッシュで鼻をかんでばかりいるせいで、いつも赤鼻のトナカイ状態の娘を哀れんでいる様子が伝わってくるのだが、この花粉症に関してはどうにもこうにもならないのだから、放っておいてほしいというか、そっとしておいてほしいと思っていたりする。

しかし、最近外出時にマスクをするようになり、少し花粉症の症状が軽減されるような気がするのだ。

これまで(COVID-19 が流行るまで)ブリュッセルの街中でマスクなんてしている人はいないし、もししていたら、きっと大変奇妙な目で見られたことだろう。

マスクをするという日本では普通の光景が、こちらでは絶対にできないような雰囲気があった。しかし、コロナのおかげで、最近は、以前あれだけマスク着用を馬鹿にするような発言をしていたヨーロッパ人たちも、面白いくらい、みんなマスクをしている。

もともと、日本にいる頃から、私自身はマスクをすることをあまり好まなかった。窮屈な感じがする、というのが主な理由だが、花粉症でもマスクをつけることはほとんどなかった。それがここにきて、ある意味外出時はせざるを得なくなり、そのおかげでマスクの効用を知ることができたのだから、よかったと言えるのだろうか。

でもやっぱり本音は、早くマスクなんて着けないで生活したい。

コロナが始まり、小さな不満が積もってきた今、たった数ヶ月前までのマスクなし生活が、なんて贅沢で幸せな生活だったかと、毎日身に沁みて感じているのである。

自分が手にしている幸せは、なくなるまで気づかないというが、本当にその通りである。さあ、今この時に当たり前だと思っている幸せを、今の内にしっかりとかみしめておこう。

26.may.2020 by Mytyl

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