ミチルのひとりごと 妊婦の季節

最近、なぜか私(ミチル)の周りで密かなベビー・ブームである。

この間、前から身体全体がふっくらしている同僚のお腹が出ていることに気づき、ん?と思ったのだが、いや待て、もしかしたら、ちょっと太っただけかもしれない。「あれ、もしかしておめでた?」なんて直接本人に聞いたら、ひっぱたかれるかもしれないと思って、彼女と仲良しの別の同僚にこっそり聞くと、「そうよ。知らなかったの?」と言われた。やっぱり。でもその次がもっとびっくりした。

「今、うちの会社では、今年中に4人の赤ちゃんが生まれるわね。カトリーヌだけじゃなくって、オリビアも。あとジャン=フィリップ とローランの奥さんたち。まあ、男の彼らが妊娠するわけじゃないから、聞かないと分からなかったと思うけど、、、」

えー!そうなんだー。おめでたいなあ。なんだか私まで嬉しくなってくる。

そういえば、同僚たちだけではなく、私の友人たちも何人か身ごもっている。この間、連絡のあったフランス人の友人は、最近病気になってしまって、体調がすぐれないと言っていたが、実は妊娠したからだったの、と後になって聞かされた。

そして、びっくりしたことに、お酒とタバコが禁止になっただけでなく、他にもいろいろな食べ物が妊娠によって禁止になった。そのリストの内容が興味深い。例えば生魚。ベルギーの妊婦は寿司NG。

そしていくつかの豆類やモヤシもだめ。日本人の妊婦さんがそこまでの制限を課せられるなんて聞いたことないけど、国が変われば禁止リストも変わるのである。

妊婦の友人たちは皆が初産なので、こっちも気を使ってしまい、以前のように気楽に誘えなくなってしまった。でも、いつも誘われる側のミチルに、たまにはあなたから誘ってよ!安定期に入ってるし、大丈夫だから。ということで、先日あるコンサートに声をかけてみた。クラッシック音楽のコンサートなら、子供の胎教にもいいだろうと思ってのことだ。

でも、6月だというのにベルギーらしくその日は肌寒く、教会のコンサート会場はきっと寒いだろうと想像した。まあ、自分でもそれなりの格好をしてくるだろうとは思ったが、念のため、彼女のためにブランケットを用意してみた。

コンサート会場に現れた彼女は、以前よりもずっと腹部が目立つ体型になっていて、でも夏らしい涼しい格好で現れた。

「寒かったらいけないから、あなたのために、ブランケット持ってきたんだけど」というと、少しはにかみながら、メルシーと彼女は言った。

しかし、はたとあることを思い出した。そうだ、妊婦の体温は、通常より上がるということを。

というのも、その数日前、会社の社内会議の際、ミーティングルームが冷え切っていて、隣に座っていたカトリーヌに、「ねえ、この部屋とっても寒いわよね」と小声で囁いたところ、「私は反対ね。暑いわよ」と言われ、びっくりした。私の真正面に座っていたオリビアが「私たち、ほら2人分だから、暑いのよ」と言って、妊婦さんは、体温が上昇することを教えてくれたのだ。

なるほど、妊娠するといろいろと身体に変化が訪れると聞くけれど、なかなか自分が体験しないと細かいところまでは、分からない。私の友達も、コンサート中はブランケットを横に置いたままで平気な顔をしていた。

生まれてくる子供のための部屋が必要になるから、引っ越しもしなくてはならないし、子供のための保育所もベルギーの場合生まれてくる前から探しておいて、予約しておかなければいけないし、ベビー服や、乳母車、赤ん坊のベッド、いろいろと揃えなくてはいけないものがたくさんある。

大変だけれど、やはり新しい命が芽吹くというのは、なんだかドキドキワクワクする。あの赤ん坊たちの、何もできないくせに、みんなを幸せな気持ちにすることができるエネルギーとパワーには、本当にびっくりさせられる。

どんな赤ん坊にも、純粋で美しい清らかなパワーがある。生まれる前から邪悪な赤ん坊なんて、いないのである。その赤ん坊たちを、どんな世の中で、どのように育てていくのかは、我々大人たちの肩にその責任があるのだ。

みんなのベイビーたちが、無事元気な顔を出してくれることを、心から祈るミチルなのである。

 

17.jun.2018 by Mytyl

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